ずっと一緒に
━━私の部屋のベッドに恵理を横たえさせた。
入って来た私たちに母さんがビックリしたのは言うまでもない。
「大丈夫だ。病院もいらない。恵理の両親には、心配でも母さんが対応してくれ。目が覚めて落ち着いたら呼ぶから」
「……分かったわ。もう! 無茶しすぎよ!
二人とも! 恵理ちゃんが可愛くて仕方ないのは分かるけど! 」
プリプリ怒る母さんを尻目に部屋に向かった。
母さんなら誰が来ても対応してくれる。
私の母親だからな。
和久に先に風呂に行かせた。
……恵理の瞳が薄ら開く。
「……え? つ、かさ? 」
「ああ。……まずは詫びらせてくれ。気がついてやれなくてすまなかった」
「ちが、う。私はただ……私も永遠になりたかっただけなの」
「分かっているさ。いや、分かったんだ。お互い想いあっているのに擦れ違っていた。こんなやり方をしても、智久は喜ばない。そうだろ? 」
「あ……、ごめ、んなさ……」
私は恵理を抱き締めた。
一緒にいたい気持ちは同じなれど、矛先など性格で変わるものだ。同じはない。
「だから、試したんだろう? 私たちを」
「え? 気がついて……」
「そこまで純朴な子どもじゃないさ。それに……」
スマートフォンを取り出した。
それは私のでは無い。
「! 私の……! 」
「これを待ち受けにするとはなあ?
」
写っていたのは、私と智久のキスシーン。
恵理は黙ってしまう。
「知っていたさ、おまえがずっと見ていたことなんて。智久も然りだ」
「俺らんときもだろ? 同じ手口でおまえも爪が甘いなあ」
風呂上がりの和久が意地悪な笑みで、ドアに寄りかかっていた。
「爪が甘いのは和久もだろう? 今好きのは私じゃないくせに」
「え、ちょ! 」
慌てる和久を尻目に恵理に笑いかけた。
「で? 恵理、おまえは誰が好きなんだ? 私たちだけでは分が悪い」
意地悪く笑ってみせる。
「私は……司が、好き」
照れながら言う恵理が可愛かった。
「残念だったなあ? 恵理は私のものらしい。私も恵理が好きだからな」
「な! ふざけんな! 」
私たちは男女無くじゃれ合った。笑いあった。
お互いがお互いを想い合い、一方通行は何一つない。
それぞれを甲乙つけ難いほどに想っているからこそ、だ。
□□□□□
疲れ果て、眠った二人。
雑魚寝状態になった、司の部屋。
意地を張らなければ、きっと私はこの部屋で暮らしていたんだろう。
私は分かっていた。
一緒にい過ぎて、恋愛が怖かった。
他の誰かを好きになりたくなくて、司を意識するようになった。
でも私は、智くんも和くんも大好きだから。
キレイなままでいたくて、キレイままでいて欲しくて……。
私を残して智くんのところに絵本たちはいった。
私の大好きな
私たちが行く、そのときまで。
私はそっと、司と和くんの頬に唇を当てた。
━━グイッ。
引っ張られ、私はバランスを崩し、2人の中に転倒する。
「……可愛いことをするな」
「襲うぞ、こら」
私は両脇から、頬にキスのお返しをされた。
ボロボロと涙が零れる。
何も言わずに二人は私を抱き締め、三人で、智くんの夢を見る。
━━ずっと一緒にいようね、大好きだよ。
fin
流星因果のクオリア 姫宮未調 @idumi34
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