第134話中京工業地帯奪還作戦③


俺たちはドラゴンの背に乗り名古屋飛行場へ向かった。




ドラゴンの背中はグリフォンと違い風を受けない、どうやらドラゴンは飛行するのに風を操るようだ。




それでも、冬の上空気温は低い、俺や鬼人族はそれほど寒さに強くないのでグリフォンに暖を求めて体を寄せていた。




そんな寒さと戦う中、能天気に楽しそうにしてる奴らがいた、そうですマリアと若いドラゴンたちです。




「久し振りに暴れるよ」




「私達も主のために頑張る」




マリアは育児ストレス発散はなんとなく理解できるけど、ドラゴンたちがやる気になると、都市が壊滅しそうで恐い。




しかし、時間も無かったから作戦も函館と違いゆるゆるなんだよね。




臨機応変にやるしかないし、無線で連絡はとれるし、ブレスも最小限しか使わないように言って有るから、多分大丈夫。




自衛隊員たちも避難所に着いたようなので作戦開始。




俺たちはグリフォンに乗り替え若いドラゴンたちは滑走路に降りる。




マリアだけは待ちきれ無かったのか、ドラゴンが飛び降り猫のように華麗な着地を見せ、滑走路から街に向けて走り出した。




「マリア、どこに行く」




「大物を見つけた、狩って来る」




(マリアは元々遊撃用員だから良いけど、ここまでやる気とは)




ドラゴンが滑走路に降りると、周りに居たモンスターたちが一斉に逃げ惑う、若いドラゴンたちは新しいおもちゃを見つけたようにモンスターを追い出した。




上空から見ていると、怪獣が暴れてるようにしか見えない、3分で帰る宇宙人より、平和のために壊す建物が多そう。




ドラゴンにしてみれば、住宅街なんて空の段ボールを掻き分ける位にしか思って無いんだろうな。




俺は取り合えず見なかったことにして、ドラゴンコンビに上空警戒してもらい、自衛隊員たちの救助を優先させた。




俺は空港内に入るとかなりの負傷者が床に寝かされて居た。




直ぐに隊員がやって来た。




「大曽根さんですか?」




「大曽根です、救助は間もなく来ますが、先にポーションを渡しますので使ってください」




俺の鎧と化しているシルバも行きたそうとしているが、今はポーションが有るので、スライムが体にへばり付いて、パニックを起こされても困るのでシルバには我慢してもらった。




ポーションを配っていると、外から救助に来たヘリの音が、外を見るとオスプレイやチヌークが何機も降りて来ていた。




早速隊員たちが負傷者を搬送するが、負傷した隊員の数が多く一度には運びきれない。




ドラゴンコンビやグリフォンや鬼人族が居るのでモンスターは襲って来ないが、残された隊員たちの顔は不安感が滲み出ている。




負傷者も腕や足が欠損している者も多く、もう2度と戦えないだろう。




今回の作戦は項を焦りすぎた、完全に失敗だ。




自衛隊の攻撃で滑走路も修理しないと使えない状況だし、もうここにそれほど価値が有るとは思えない、隊員たちが撤退したら俺たちも大型のモンスターを狩って撤退しょう。




名古屋港に居るいずも形護衛艦にピストン輸送しているが、2連隊で2000人以上居たために輸送も容易じゃない。




しかし、この後どうするつもりなんだろ、名古屋の地下街はダンジョンのようにモンスターが溢れて居るし、下手にドラゴンがモンスターを追い過ぎると他の地域に影響が出るだろうし。




名古屋港を中心の奪還なら上手くいきそうなのに、なんでこんな内陸の飛行場を確保したかったんだろう。




雅也は知らなかったが、日本の戦闘機やミサイルの根幹に係わる工場や研究施設が有ったからで有る。




その頃マリアは、前に子供を守るために反撃できずに、悔しい思いをした、シルバーバックに襲い掛かって居た。




守る物の無いマリアの相手では無かった。




我が物顔で居たシルバーバックたちもマリアの攻撃でどんどん倒されている、逃げたくても体の大きなシルバーバックたちには逃げ場は無かった。




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