第133話中京工業地帯奪還作戦②
俺と秀鬼は総理の好意で夕食を供にすることになり、食堂に案内されると、すでにテーブルには、見たことの無い自衛官たちが居た。
総理と一緒にテーブルに着き、総理の合図と供に料理が運ばれて来た。
料理は和食で海産物は豊富なので、肉より魚がメインなようだ。
食事をしていると、初めて見る自衛官が鼻高々に話だした。
「今回の作戦で東海地方も安定できますな、最初から自衛隊に任せてくれれば、函館のように街を壊滅なんて起きなかったんですよ」
すると、何度も会ったことの有る自衛官が。
「でも、函館奪還作戦は殉職者はゼロですよ、今回の作戦で何人殉職者を出しました?」
「予期せぬ事故は有る、それでもミサイルなどの生産のためにも、稼働できる状態での奪還は必要だ」
俺も総理もこの会話には入らず静閑した。
俺もわざわざ厄介事に首を突っ込みたくは無い。
自衛隊の中でも、俺らみたいなよく解らない者に頼るのは自衛隊の恥じだと思う連中も居ることは知っていたが、隊員たちの命を軽んじる言動は不愉快極まりない。
食後、俺たちは幹部用の部屋を与えられ、そこで秀鬼と軽く晩酌してから床に着いた。
深夜にドアを叩く音で俺たちは起こされた。
秀鬼がドアを開け、用件をたずねると。
「夜分遅くに失礼します。ただ今名古屋飛行場がモンスターの襲撃にあい交戦中です、申し和無いのですが指揮所までお越し頂け無いでしょうか?」
「解った、着替えて直ぐに行く」
「ありがとうございます。部屋の外でお待ちしております」
俺たちは直ぐに着替え指揮所に行くと、モニターにはかなりの数のモンスターが空港の部隊に襲い掛かって居た。
秀鬼が言うには名古屋飛行場に居たメガスクイドが縄張りにしていたところを自衛隊が占拠したために、新たな縄張り争いが起きたようだと語った。
俺たちの会話を聞いていた自衛官は、直ぐに他の自衛官に話しに行った。
しかし、そんな会話中も戦闘中の自衛隊員にモンスターは襲い掛かっている。
マントヒヒみたいなモンスターが自衛隊の攻撃をかわしながら、建物に近く映像がモニターに映る。
自衛隊員たちも反撃するが、モンスターの数が多く押されている。
しかし、駆け付けた戦闘ヘリが攻撃に参加すると、形成は逆転。
指揮所は歓声に包まれた。
「これで大丈夫だ、他からも反撃ヘリを回せ」
しかし、その命令を発した直後、戦闘ヘリが撃墜された。
「な、なにが起きた」
なにが起きたか解らないうちにまた攻撃ヘリが撃墜された。
どうやら、モンスターたちが攻撃ヘリに向かい何かを投げつけている。
マントヒヒと同じ種類のモンスターなのだが、大きさが3倍近く有る大型のモンスターが攻撃ヘリに攻撃してるようだ。
攻撃ヘリが攻撃を避けるため高度をあげると、モンスターたちはその隙に進行してきて、自衛隊員の被害は拡大していった。
俺は黙ってモニターを見ているが、指揮所の中は蜂の巣を突いたような状態で怒号が飛び交っていた。
そんな中、モニターが強烈な光で真っ白になり。
「富士からのミサイル着弾しました」
モニターが元に戻ると、滑走路や周辺の森が燃えていた。
かなりの数のモンスターが死んでいたが、大型のモンスターは無事では無いが生きていて、モンスターは飛行場から逃げ出す光景が映し出されていた。
戦闘は終わったが、自衛隊員たちは多くの死傷者をだし、とても作戦を維持できる状態ではなかった。
ただ黙って見ている俺に、総理が近づいてきた。
「大曽根くん、誠にすまないが名古屋飛行場の撤退のため、力を貸して頂けないだろうか」
「今からですか?」
「こんなことを頼める義理は無いことは解っている、しかしこれ以上犠牲を出したく無い、頼むこのとおりだ」
「総理、なんでそんな奴に頭を下げるのですか、多少の問題は有りましたが作戦は続行できます」
「ふざけるな、君はあの光景を見てよく言えるな、隊員たちは駒じゃ無いんだ、君の指揮権を剥奪する、直ぐに出ていけ」
他の隊員に指揮所から連れ出される。
「改めてお願いしたい」
「解りました、ただし条件が有ります。まず飛行場を中心とした20Km*圏内に有る避難所及び市民が居る施設に自衛隊員を派遣してください」
「大曽根くん、何をする気だ?」
「作戦概要を説明します、指揮権の有る人間を集めてください」
それから、俺の説明で作戦内容を話した。勿論納得しない人間も居るし、民間人に自衛隊の指揮権を渡すことに反対の者もいた、しかし総理の一言で無理矢理納得させた。
それからは早かった、各避難所に自衛隊を派遣して防衛にあたり、撤退できる部隊は有る位置まで撤退した、飛行場の負傷者の収容も始めてはいるが、数が多く収容に手間取っている。
マントヒヒのモンスターは去ったが、違うモンスターからの攻撃で小規模な戦闘は続いていた。
俺たちは会議後直ぐにヘリで村まで送って貰い村に急いだ。
村に着くと、既に俺の母家に館長たちが集まっていた。
どこで話を聞き付けたのか異世界コンビにドラゴンコンビも居た。
ドラゴンコンビは参加してもらうつもりでいたが、まだ未知数の異世界コンビは連れて行くつもりはなかった。
参加メンバーを発表すると、まず新撰組が連れて行けと騒ぎ出した、しかし妊娠してるかもしれない人間は連れて行けない、こんなことでお腹の赤ちゃんがダメになったらどうするんだの一言で諦めてくれた。
しかし、異世界コンビは引かない。
「武器も防具も皆さんのお陰で強化できた、迷惑は掛けない連れて行ってくれ」
「死ぬかも知れないんだぞ」
「冒険者はいつでも死と隣り合わせな職業さ、私達はもっと強くなって村に貢献したい、それにもしかすると帰れるヒントが有るかもしれない、頼む連れてってくれ」
「解った、直ぐに準備してくれ」
「雅也、私も行くぞ」
マリアが窓から部屋を覗いて居た。
「マリアは村と子供たちを守って欲しい」
「留守番は嫌だ、連れて行け」
結局、マリアに根負けして、連れて行くことに、それで村の防衛は責任感の強いイザベラにお願いして、結局、俺とマリアに異世界コンビと妃鬼を抜いた鬼人族とドラゴンたちに、アポロ夫婦を抜いたグリフォンたちで行くことになった。
移動もドラゴンたちに乗り名古屋に向かうことにした、自衛隊から輸送機を出す提案をされたが、ドラゴンの方が早いので断った。
俺たち全員にカメラと無線機が支給されたが、ドラゴンたちとマリアに付けるのに苦労して、結局出発が遅れた。
異世界コンビはドラゴンに乗れることを喜んでいたが、俺はドラゴンたちに、一生懸命飛ばさなくていいからゆっくり行こうと言い聞かせた。
グリフォンたちも長距離を飛ぶと体力的きついのでドラゴンに乗って貰い、皆に見送られて出発した。
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