第126話ソフィとシオン
「‥‥さん、雅也さん、おはよう朝だよ」
「うーん、後5分寝かせて」
「シーツ洗濯するから、起きて」
結局、布団を剥がされ、ベッドから叩き起こされた。
俺は太陽が眩しくヘロヘロなのに、なぜ恋花は肌が艶々で元気なんだろ。
朝飯食べてたら、今日は美咲がお休みで明日の朝まで、俺についてるようだ。
(こんな状況で浮気できる奴が居るなら連れて来い)
昨日、村に来た一樹くんは村の高校に入り今日から通うことに成った。高校と言っても戦闘訓練も有るしこの世界を生き抜く勉強がメインだけど。
ソフィとシオンの異世界コンビは、歩美の案内で村を見て回るようだ。
俺は田舎のばあちゃん家でしか経験したことの無い、コタツを出します。
リビングのソファーをアイテムボックスにしまい、ラグの上にコタツ用のマットをひき、コタツ布団を掛け、スイッチを入れる。
これは、一旦入ったら出れなく成る。お値段以上だ、お金払って無いけど。
「‥‥さん、雅也さん、お昼ですよ」
「ごめん、寝ちゃってた」
体を起こすと、目の前に異世界コンビがコタツに入って居た。
異世界コンビは歩美となんか話しているが、寝惚けて入ってこない。
「‥‥‥やって、4人で結婚したの?」
「最初は抵抗してたけどね、雅也さん」
「えっ、なんの話?」
「ソフィちゃんとシオンちゃんも2人同時に同じ人を好きに成ったんだって」
「マジで?」
「私達、カズキが好きなの、カズキは優しいし、それに可愛い」
「でも、この世界って一夫一婦制でしょ、歩美ちゃんに聞いたら、村長さんは奥さんが4人も居るって聞いたから、参考にしようと思って」
「カズキくんってまだ17歳ですよね、お2人はいくつなんですか?」
「村長さん、女性に歳を聞かないでください」
「すみません」
(でもどう見ても、カズキくんより見た目で5歳以上年上でしょう、童顔のカズキくんを狙うショタにしか見えない)
お昼を食べお茶を飲んで居ると、噂のカズキくんがやって来た。どうやら午後授業はダンジョンだったらしく、防具の無いカズキくんは帰って来たようだ。
カズキくんは何故か2人掛のところに、異世界コンビの真ん中に座らされ、カズキくんの頭をシオンの大きな胸に抱き寄せられ、真っ赤な顔してる。
「カズキ、寒かったでしょう、耳がこんなに冷たい」
「だ、だ、大丈夫です、離してください」
「ダメ、カズキは私達の命の恩人なんだから、風邪引いたら大変でしょう」
(抵抗しているが、ガッチリホールドされていて、更にソフィに頭を撫でられている。ショタ感半端無い、近いうちに美味しく食われるな)
美咲がカズキくんのお昼ご飯を持って来て解放されたが、顔は真っ赤だ。
朝はあんなに警戒してたのに、歩美が2人を連れて来たのは、2人がカズキくんを好きだと知って、危険は無いと認識したな。
カズキくんの食事も終わり、歩美は3人を連れて、また村の案内に出掛けた。
「美咲、あの3人はなんか犯罪臭がするんだけど」
「良いじゃ無いですか、愛が有ればどんな形だって、私達もそうでしょ」
「仮にだよ、俺が美咲たちと結婚して無くて、俺が17歳の子が好きって言ったら、皆に責められるのに、女性はなんで責められ無いのかな?」
「それは、年上女房は金の草鞋ですよ」
「金の草鞋かー」
(鉄下駄より重そうだな)
何より、変な嫉妬が収まるなら、これでいっか。
俺は結局コタツから出れずにいたら、歩美が3人と秀鬼と妃鬼を連れて戻って来た。
「村長、この村は魔族も居るんですか?」
「魔族?」
「人族はなんでもかんでも、魔族と呼ぶが、魔族なんて種族は無い、俺たちは鬼人族だ」
「そんなのどっちだって良いでしょ」
「良くねーよ、人族は魔族だ獣人をひとまとめにするが、別々の種族なの」
「村長さん、魔族は危険よ人間を騙して襲うわよ」
「襲わねーよ、人族が俺たちの土地に攻めて来てるだけだろ」
「そんなことないわ、私たちは見たもん、魔族に襲われて滅んだ村を」
「それは戦争してるんだから、あり得るだろう」
「村を襲うなんて悪逆非道よ」
「人族だって同じことしてるぜ、ただな、俺たちは人族が皆悪逆非道だとは思ってないぞ、俺たちにも人族にも悪いことをする奴は居る、でも1人が悪いことしたらその種族全てが悪人だとは思わない、だけど人族は教会の教えで、俺たちは悪だからなにしても良いと思ってる、お前らは俺たちになにかされたのか?」
「されて無いけど、でも魔族が人間を殺した事実は変わらないわ」
「じゃなにか、悪いことしたら、その種族全てが悪なのか?」
「そんなこと無いけど」
「この世界でも昔、種族じゃないけど、民族浄化と評して虐殺が行われた。それら全てが国や権力者が民衆を煽動して、民衆に偏った教えをしたからなんだ。
今でも愛国のためならなにをしても良いと教えてる国も有る。結局教わったことを信じて疑わない狭い視野だから起きるんだ。自分自身で調べもしないで、誰かが言ってたからだったら、ただの駒でしか無い。この世界でも有るが宗教なんて敵を作れば、敵に勝つために寄付しましょう、祈りましょう、戦いましょうって信者を集めやすいからな」
「そんなことは無い」
「シオン聞いて、教会が正しいならなんで私たちエルフは襲われるの?」
「ソフィまでなんでそんなこと言うの」
「シオン、貴女は知っているわよね、エルフが人間に襲われていることを」
「それは一部の人間が勝手に」
「じゃあ、エルフは仕返しに人族なら誰でも襲って良いの?」
「じゃあ、私が小さい頃から教わってきたことはなんなの?」
「それは洗脳だ、彼奴らは悪だからなにをやっても良いなんて、思考の持たない家畜でしか無い」
「そんな」
「考えることや調べることを止めて、世間に流されたらもう家畜なんだよ、鬼人族は俺たちの仲間だ。もし危害を加えたら俺は許さない、自分自身の目と耳で鬼人族がどんな人なのか感じて考えろ」
「危害なんて加えない、でも私はなにが正しいのか解らない」
「自分自身で考えるんだな」
シオンは母家を飛び出した。
「カズキくん、シオン追ってくれ」
「はい」
俺はそれから、ソフィと秀鬼たちから、異世界について聞くことにした。
マリアもドラゴンたちも人とあまり接触していなかったので、今まで聞けなかったが、彼らからなら話が聞けるだろう。
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