第125話俺にそんな甲斐性有りません
外は大分寒くなり、リザードマンたちも奥多摩湖から元ウサギダンジョンに越冬のために拠点を変えていた。
リザードマンたちは寒いと動きが鈍り、冬場は家に閉じ籠る生活をしていたらしいが、ダンジョンだと冬でも暖かいし、湖で薬草採集ができるので、春までダンジョンで過ごすようだ、こちらとしても薬草が手に入るので助かる。
俺がダンジョンに訪ねた時にはもう家までできていた。
リザードマンたちに冬でも活動できるダンジョンが有ることに大変感謝された。
風の強い寒い日に、高校生位の男の子と金髪と赤毛の外国人の20歳前後の女性2人が徒歩で村に訪ねて来た。
横田基地から来たとしても徒歩で来るのは珍しいし、俺たちはスパイの件も有ったので外国人を警戒していた。
俺はゲートで警備していた防衛班から連絡を貰い、村に入れるか判断するために結界の境に造ったゲートに向かった。
俺は、マリアと、見た目は子供に見えなくなったがまだまだ甘えん坊の子虎と子猪とでゲートに向かった。
ゲートに着くと、イケメンでは無いがブサイクでも無い普通の高校生男子と金髪でモデルの用な体型で弓を持ち、革のパンツにダウンジャケットを着た北欧風超美人と、赤毛で腰に剣を差し、ニーハイにミニのプリーツスカートにダウンジャケットの絶対領域から目が離せなく成る超美人のアンバランスな組み合わせな3人組が居た。
超美人2人に普通の高校生の取り合わせに違和感しか感じなかったが、高校生は物腰も軟らかな好青年に思えた。
俺はそれでも警戒しながら話し掛けた。
「こんにちは、村長をやっている大曽根雅也です、今日はどうされました?」
「初めてまして、羽生田一樹です、え~とですね」
「カズキ、私が話す。村長さん私達は帰るためにドラゴンに会いたいの」
「えっ、帰るため?帰るならドラゴンじゃなくて、日本政府に頼んでください」
「日本政府じゃ無理なんです」
「雅也、この2人はこっちの人間じゃないぞ」
「マリア、どういうこと?」
「2人から魔力を感じる」
「そうです、私達はこの世界の人間では有りません」
「僕は日本人ですけど、2人は異世界人なんです」
「マジで?」
「マジです、僕もビックリしましたから」
金髪さんの名前がソフィで赤毛さんがシオンと言うらしい、本当はもっと長くて発音しにくいのでそれで良いらしい。
どうやらスパイでは無さそうなので、暖かい母家で話を聞くことにした。
途中、恋花と楓に会い、見知らぬ外人が気になるのか同席することになった。
母家に着き、ダウンジャケットを脱ぐと金属製の胸当てからでも分かる巨大果実をお持ちの赤毛美人と、革鎧を着ていても分かるフラット感な残念金髪美人。
囲炉裏に座りお茶を飲みながら話すことにした。
話を聞くと2人は元々冒険者で、ギルドからの依頼でダンジョンを調査していてスタンピードに遭い、ダンジョンの小部屋に逃げ込み難を逃れたらしい。
それから、なんとかダンジョンを出たが食糧も無くなり傷ついて動けないところをカズキくんに助けられたらしい。
カズキくんが言うには、カズキくんのマンションの有る東雲シノノメの公園で倒れてる2人を見つけて助けたそうだ。
最初は救急車を呼ぼうとしたが、電話をしても断られたらしく、仕方なく2人を家に連れてきて手当てしたらしい。
最初見た時はビッグサイトも近いので、コスプレ外国人と思って助けたし、普通に日本語で会話もできたから家に上げたが、部屋に入ると2人が可笑しな行動を取り出した。
助けた時は電気も来ていたのでテレビをつけたら2人が騒ぎだし、テレビを壊そうとしたので慌てて止めると、2人が可笑しなことを言いだした。
私達は多分この世界の人間では無いとソフィさんが言い出し。
ソフィさんの村に伝わる異世界人の話に出ていた伝説の話と酷似していて気付いたようだ。
そこからは、3人で話し合い異世界人ということを隠して生活してきたようだ。
カズキの両親は仕事に行ったきり帰って来ず、それから3人で生活を始め、食糧などはマンションに備蓄して有った物や、500世帯くらい有る高層マンションなのに、マンションに居たのは130人しか居なかったので、不在の家の食糧をあさり食い繋いできた。
それでも、水が無くなりお台場に避難所が有ると聞き皆で避難した。でも途中にモンスターに襲われ、たどり着いたのは80人にも満たなかったがなんとかお台場には着いた。しかし、既に避難所は放棄されていて、それでも水などが有ったし、とても他に行く気力が無かったので、そこで一夜を明かすことにした。
翌朝、自衛隊に発見され、無事に羽田空港の避難所に保護された。
それからは、羽田で生活をしていて、たまたまテレビで函館奪還作戦を見て、ソフィがドラゴンなら帰る方法を知ってるかもしれないと考えここに来たらしい。
俺はドラゴンコンビを呼んだ。
めんどくさそうにクレアとダリアが来ると、クレアが。
「ずいぶん珍しい客だな、そこのお前擬装を解いてみろ」
2人は顔を合わせ、どうするか悩んでるようだ。
「別に危害を加えない、ここに居る者は大丈夫だ」
「わかりました」
ソフィは腕輪を外すと、耳の形が変わり、神秘的な印象を与える雰囲気を醸し出した。
「えっ、エルフ?」
(エルフ来ました、エルフですよエルフ、ファンタジー定番のエルフきたーー)
「痛い」
(恋花さん、なんでお尻をつねるのですか?楓さん痛くないけど、横っ腹を肘打ちしないでください)
「そうです私はエルフです、これでよろしいですかドラゴン様」
「悪かったな、エルフは人族に狙われやすいからな、戻してよいぞ」
(あー、もどちゃった)
「雅也、なにをそんなに悲しい顔をしてる?」
「し、してませんよ」
「雅也さん、後でお・は・な・し・しましょうか?」
「な、なんのお話しですか?」
「夫婦のお話しですよ」
(恋花も楓も笑ってるけど、目が笑ってない)
「ドラゴン様、元の世界に帰る方法を知りませんか?」
「我々も解らないんだ。この世界は魔素の量が少ないから、我々も帰る方法を探した。しかし、この世界の神とすら話すことができない。ダンジョンはこの星の核からなんとか魔素を取り込んでいるが、地上では魔素が少なすぎる。我々ドラゴンも繁殖ができないので、色々調べたが無理だ」
「そうですか、ドラゴン様でも無理ですか」
「まあ、今は無理かも知れないが、そのうち良い方法が見つかるかもしれんぞ。向こうの神も私らが居なく成って苦労してる筈だからな、ここで暮らして待てば良い」
「私達を受け入れて頂けるのですか?」
「大丈夫ですよ、ただし、なにかしら仕事をして貰いますが、取り合えず1週間は村を見て回りできそうなことを探してください」
「解りました、よろしくお願いします」
「「お願いします」」
それから、3人を案内して村見て貰い、温泉旅館に泊まるため、案内しようとしたら、恋花さんに腕をつかまれ、楓が案内することに。
気がつくと、囲炉裏には恋花さんと2人だけ?あれ雪たちも居ない、どうして?
(俺はなにもしてません、無実です、恋花さんの目が笑って無いです)
「雅也さんはあーいう方がタイプなんですか?」
「そんな事有りません」
「雅也さん、今村の女性たちがどんな話をしてるか知ってますか?」
「いえ、知りません」
「奥さんが4人も居るなら後1人くらい増えても大丈夫じゃないと噂になってますよ」
「えー、無理無理」
「雅也さんがどうしても奥さんに迎えたいなら、私達も相談にのります。ただし、脇の甘い雅也さんがなし崩し的に奥さんを迎えるのは反対です。それと結婚前に関係を結んだら、覚悟してくださいね」
「そ、そんなこと絶対にしません、愛してるのは神に誓って恋花たちだけですから」
「解りました、今日は私の日ですから、夜に証明してくださいね」
「はい、頑張ります」
(奥さんを増やすつもりは無いが、最近彼女たちの束縛が激しいのは何故だろう)
雅也は知らない、自分の価値を。ポーション研究所の女性たちが雅也を狙っていることを。
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