第121話函館奪還作戦②


俺たちは、今日の宿泊地洞爺湖にもうすぐ着くと言うところで車列が止まった。




ドラゴンコンビが空き地でドラゴンに変わり、上空に飛び上がった。




俺たちは違う車に乗っていたので、呆気にとられて空を見つめると、そこにはこちらに近づく黒い点が。皆が空を眺めていると、ドラゴンが接近中、避難しろと前方から叫んで知らせて来る者が。




俺はクレアたちからドラゴンのことを聞いていたので、近くの自衛隊員に大丈夫だと伝え、グリフォンで俺もドラゴンを追うことにした。




その頃、北海道の各地では、ドラゴンに驚いたモンスターたちがパニックになり逃げ惑う光景が。せっかくモンスターを一部地域に留めていたのが、ドラゴンから逃げるように分散してしまい、各地で突発的な戦闘が起きていた。




クレアに追いつくと、そこには頭を垂れた7頭のドラゴンがいて、言葉は解らないが、クレアとダリアに怒られている。




近づいてクレアに聞くと、どうやらドラゴンコンビがダンジョンに帰って来ないから迎えに来たようだ。




一旦俺たちはドラゴンを連れて、車列の近くの空き地に降り立った。




ドラゴンたちも降り立つとなんか、25mから30m有るドラゴンがシュンとした感じで小さくなっていた。




クレアとダリアがそんなドラゴンに近くと、ドラゴンたちの頭に触れていく。




頭を触れられたドラゴンたちは目をパチクリさせ、日本語で話し出した。




「ごめんなさい」




「だって、クレア様もダリア様も帰って来ないから」




「貴方たちはダンジョンから出ちゃダメって言ったでしょ」




「だってだって」




「だってじゃ無いでしょ」




話してる内容はまるで小学生親子の会話のようだ、そんなドラゴンたちに近づいてクレアに話し掛ける。




「クレア、どういうことだ」




「コイツ人族の癖になんか偉そうだ」




「食っちゃう?」




「貴方たち、いい加減にしなさい」




それでも俺に喰って掛かるドラゴンの顔を殴り飛ばした。




「痛いよー、ぶった」




「いい加減にしなさい、この人族は貴方たちのお兄ちゃんよ」




「「「えっ」」」




「まてまてクレア、何で俺がお兄ちゃんなんだ?」




「この子たちはまだ100年も生きていない子供なの、だから雅也がお兄ちゃんなのよ」




「いやいや、俺は30年しか生きてませんけど?」




「ドラゴンと人間では寿命が違うでしょ、それに私の竜核を持つんだから、ほとんどのドラゴンたちより上位なの」




「聞いて無いよー」




「言って無いもん」




俺は諦めた、混乱している自衛隊の皆さんに安全だと伝えに行くと、隊長さんが駆け寄り焦った様子で話し始めた。




「雅也殿、各地で一斉にモンスターたちが暴れ出しました」




「はぁーあ!!」




人化したクレアとダリアが。




「あの子たち、まだ竜気を抑えられないから、多分モンスターたちもビックリしたのかも?」




俺は軽い頭痛に襲われ、こめかみに手を当て。




「被害状況は?」




「モンスターたちは逃げ惑うばかりで大した戦闘は起きていないが、市街に囲っていたモンスターが広範囲に散らばったため、各地で住民を避難させているところだ」




(うわー、洒落にならない事態じゃん)




「俺たちもなにか手伝います」




結局俺たちは交戦中の自衛隊を援護するために、7頭のドラゴンと新撰組と鬼人族の7人が、グリフォンに乗りペアを組み事態に当たる、今回初同行のアポロたちにも参加することに。




今回、アポロ夫妻も鬼人族を乗せるために同行した。


チビたちはマリアお母さんが見てくれているので問題無い。




俺とクレアとダリアは遊撃隊として、行動することにした。




それから俺たちは3日間各地に散らばったモンスターを探しては殺し、退治してまわった。




それでも、狼系などの危険察知能力の高いモンスターは森などに逃げ込み見つけることは出来なかった。




しかし、大型のモンスターや自衛隊では手も足も出なかったモンスターを倒したので、混乱は治まり逆に感謝されてしまった。




札幌では騒動が起きたが、函館では札幌のようには上空をドラゴンたちが飛ばなかったため、幸いなことにモンスターたちに変化は無かった。




結局、作戦のタイムテーブルを1週間遅らせることに。




その間、札幌ではモンスターの居なく成った市街地を大幅に奪還した。




結局俺たちは、洞爺湖で作戦開始までのんびり過ごした。




しかし、ドラゴンたちは2m位まで小さくなり、俺はお兄ちゃんお兄ちゃんと付きまとわれ、全然のんびり出来なかった。




初めから小さくなればこんな事態にならなかったんじゃないかと聞いたら、小さいと速く飛べないから嫌だそうだ。




結局、自衛隊もドラゴンをどうした物か結論が中々でず、俺たちは作戦開始まで函館には近付かず、自衛隊員が配置が済んだ後、函館のダンジョンを中心に取り囲む配置を取り、中心部にモンスターを追い込み殲滅させる作戦が計画された。




しかも自衛隊からの要望で、ダンジョン周辺は空き地にするために、ドラゴンブレスで殲滅することになった。




俺は嫌な予感がするから止めましたよ、でもドラゴンコンビも大丈夫だと言うので、自衛隊員の安全のためブレスをすることに。




(絶対に嫌な予感がする)




安全のために、北海道で導入された、探索者の皆さんも当日までダンジョンに入らず、作戦当日は自衛隊員と一緒にモンスターを追い込む作戦に参加することになった。




まだ雪は降らないが、だいぶ寒くなった函館の作戦は開始された。




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