第117話アメリカとの会談


「ドラゴンたちよ、焼き尽くせ、俺たちに手出したことを後悔させてやれ」




「ワハハハー、なんだ俺の体もドラゴンに成っていく」




「まあ良い、世界を焼き尽くしてやる、ワハハハ」






「雅也さん、朝ですよ、今日会談するんでしょ」




「‥‥ああ‥おはよう、なんか変な夢見た」




「どんな夢?」




「よく覚えて無いけど、なんかドラゴンに成って暴れる夢」




「ドラゴンに成りたいの?クレアさんが竜核が有っても、ドラゴンに成れないって言われたから?」




「いやいや、ドラゴンなんか成りたく無いよ」




「さあ、起きましょ、横田に行くんでしょ」




「解った、起きるよ」




(変な夢見たな、魔王じゃないんだから、ドラゴン率いて戦争なんかしないよ)




俺は日本政府の人たちを先に行かせ、俺と館長とドラゴンコンビはグリフォンに乗り横田に向かった。




横田基地に着くと、日本政府の人間とアメリカ政府の人間が挨拶を交わしていた。




俺はあえてグリフォンで近くに降り、アメリカ政府の人間に一発かまして、笑顔で近づいた。




「Mr.オオソネ、始めまして、アメリカ大統領補佐官のジャック・スキナーです、よろしく」




「初めまして、補佐官、大曽根雅也です、よろしく」




(アメリカは俺の顔を把握しているのか、館長には目もくれず俺に向かって来た)




挨拶を交わし、俺たちは会議室にやって来た。




ただ、アメリカはドラゴンコンビの顔を知らないみたいで、アメリカ政府の同行者は、どう見ても日本人に見えない2人が何者なのか、探ってるようだ。




会議場は片側10人が座れる長いテーブルが用意され、俺は真ん中に案内され、俺の左に館長→クレア→ダリアと座り、右側に山岡さんが座った。




最初は補佐官と雑談から入り、俺は焦れったくなり、補佐官に直接尋ねた。




「今回、俺になんの用が有って会談を申し込んだんですか?」




「ドラゴンを倒した大曽根さんに会ってみたくてね、それと大曽根さんのところに、アメリカで暴れたドラゴンを倒して配下にした黒いドラゴンが気になってね」




「そうですか、確かにうちにドラゴンが2頭居ますが、アメリカさんも衛星で分かっているのでは?」




「いやいや、我々は衛星を使っているが、大曽根さんのところでなにが起きてるまでは解らないから、気になってね」




「そうですか」




「うちの国は今ドラゴンに対しては敏感だからね」




「そうですか」




「ドラゴンにこっぴどくやられたからね」




「それは大変でしたね、うちはドラゴンたちと良い関係が結べて良かったです」




「ところで大曽根さんは倒したドラゴンをお持ちですよね」




「確かに持ってますよ」




「できれば、そのドラゴンをアメリカに渡して貰えませんか?勿論お礼はします」




「渡すと言ってもドラゴンは貴重ですから、うちでは今ドラゴンの素材を使った武具の開発をしているので、ちょっと難しいですね」




「そうですか、できれば同盟国として一緒に研究しませんか?」




「同盟国ですか、安保が有るのに兵を引き上げてもまだ同盟国なんですか?」




「確かに兵を引き上げてたアメリカがとおっしゃるのは解ります、ただアメリカ兵にも家族が居ます、家族の危機に兵士たちも家族を守りたくて、帰還したのです、日本政府にはお詫びとして基地の返還や武器弾薬などをお渡ししてます、そうそう横田基地の武器弾薬もかなりの量を無償譲渡してますよ」




(なんで、アメリカが俺が盗んだことを知っているんだ、日本政府の中にアメリカの犬がいるのか?)




「そうなんですか、撤退したから勝手に使っているのかと思いました」




「国と国の約束ですから、まさか勝手には使いませんよ、山岡さんそうでしょ」




(約束守らない奴ほど、よく約束を持ち出すんだよな)




「それでわざわざ補佐官は、ドラゴンのために来たのですか?」




「いえ、同盟国としてモンスターに対して情報共有したくてですね、大曽根さんが詳しいと聞きましたので」




(なにが同盟国だ、属国の間違いじゃねぇのか、しかし本命は俺の情報か、渡す訳無いだろ、渡したら多分解剖されそう)




「情報ですか、うちには大した情報は無いと思いますよ、わざわざスパイを送り込むほど情報は」




「スパイですか、私は知りませんでしたが、大曽根さんは世界から注目されてますから」




「それは困りました、俺は目立つの苦手なんで」




「いやいや、平和な時代なら、ドラゴンと一緒に写る雑誌が出たら世界中でたくさん売れるでしょう」




「それじゃあ、後でドラゴンと一緒に補佐官も記念撮影しましょうか」




「本当ですか、楽しみですよ」




それから会談は続き、アメリカは俺を刺激しないように交渉して来るが、人材交流など誤魔化しながら、村の中と俺を調べたいみたいだ。




ただ、俺はアメリカを信用していない。アメリカ文化は嫌いじゃ無いが、他の国もそうだがアメリカは他国がどうなろうと気にしない国だ、俺の情報を渡してもアメリカは情報を出さないだろう。




そんな国に真面目に付き合っても意味が無い、それなら適度な距離を置いて干渉しない状態がベストだろう。




なにかしてくれば、ただしゃおかないことだけは釘を刺し、そのことだけは認識させよう。




「補佐官、うちの村の安全のため部外者の立ち入りはお断りしているんです、うちの村はモンスターたちもたくさん住んで居ますので申し訳ない」




「ですが人類平和のために、協力していきませんか?」




「本当に人類平和のためなら協力しますが、その情報を使いただアメリカの覇権に利用されるのはちょっとね、実験のために他国のダンジョンを攻撃する国は信用できませんよ」




「中国の件ですか、あれは中国が核ミサイルを発射しようとしてたから、攻撃しただけでダンジョンを攻撃したのでは無く、軌道をそれてたまたまダンジョンに当たってしまったのです」




「たまたまですか、中国も怒るでしょうね、たまたまダンジョンに当たった攻撃で、凄いモンスターが出て来ちゃうなんて、凄い確率だなー、うちの村は結界が有るから心配無いんだけど、もし間違いでもうちの村が攻撃されたら、ドラゴンたちを連れて徹底的に仕返ししますから」




「同盟国ですから、日本が攻撃されたら、アメリカは一緒に戦いますよ」




「それは良かった、ドラゴンたちは1000頭以上居て暴れたたがるので、アメリカが介入してくれるなら、相手の被害も少なそうだ」




「ドラゴンが1000頭ですか、1頭でも脅威なのに1000頭ですか」




「ちなみにアメリカを襲ったドラゴンはまだ子供の若い個体らしいですよ、今はダンジョンで大人しくしてるみたいですが」




「‥‥そうですか、何故大曽根さんはそのことを?」




「ドラゴンに聞きましたよ」




「ド、ドラゴンと話ができるのですか?」




「貴方も先程から話しているじゃないですか」




「へぇ」




「紹介しますね、この2人がドラゴンの始祖のクレア・シオンとダリア・ラ・ファンです」




「ごめんなさいね、うちのドラゴンがおいたしちゃって、ドラゴンを見ても攻撃しないでね、怪我しなくてもドラゴンは攻撃されると、つい反撃しちゃうから」




(なんだこのクレアのしゃべり方はいつもと違ったしゃべり方なのに、迫力が半端無い)




「‥‥おいたですか」




「だから、うちの村で人材交流して虎ならぬドラゴンの尻尾を踏んじゃうと大惨事になっちゃうから、ちなみに体長10m越える虎もいるから大変で」




「‥‥そうですか、今日は色々聞けたので本国に帰り色々検討したいと思います」




「そうですか、お役に立てずすみません、最後にドラゴンと記念撮影しましょう」




その後、ドラゴンコンビにドラゴンに成ってもらい、青い顔のアメリカ人と記念写真を撮り帰って行った。




山岡さんに話を聞くと。




「高圧的なアメリカが最初から友好的だから、ある程度の情報をつかんでいたんでしょう、でも大曽根さんが更に斜め上からの発言で補佐官も驚いたでしょう、ドラゴン1000頭の話の時の補佐官の顔見た時は吹き出しそうに成りましたよ、しかし1000頭も居るのですか?」




「俺も見た訳じゃ無いけど、ドラゴンの2人が言うから居るんじゃないかな、2人に聞いてみれば」




「信じます」




そんなこんなで、アメリカも直ぐには村にちょっかい掛けて来ないだろう、総理のところには圧力が掛かるだろうが、安保をほっポリ出したアメリカに総理は毅然と当たるだろう、総理には迷惑掛けるから、今度お詫びに総理には家族で村に招待してあげよう。








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