第114話ブルネイ⑧


俺達は転移石を使い、1階層に戻って来た。




ダンジョンを出るとブルネイ軍に迎えられる、ダンジョン改変をどうするか聞くと、ダンジョン内に人はいないが、改変は後日にしてほしいと懇願され、俺達は妃鬼も心配なので、ホテルに戻ることにした。




俺は彼女達とエステで疲れを取りたいねなど話し、和やかにホテルに向かっていた。




ブルネイの車でホテルに着くと、妃鬼が秀鬼に走りよって来た。




「妃鬼、走ったら危ないだろう」




「秀鬼、ずっと待ってたんだから」


ホテルの玄関ホールで抱き合う2人をほっこりした気持ちで見ていると、視界にあり得ない人物が目に入る。




「お帰り、遅かったな」




「なんでクレアがここに?」




「遅いから迎えに来た」




俺は普通に歩み寄るクレアが近づくたびに、身体中から汗が吹き出し体が硬直する。


クレアが目の前に来ると無意識に1歩下がる。




「何故逃げる」




「別に逃げて無いけど・・・」




俺は完全にクレアの竜気がトラウマに成っているようだ。




しかし、そんな俺はクレアにあっという間に捕まってしまう。




「どれどれ、竜核が馴染んだか見てやろう」


「だだ大丈夫だから」




「遠慮するな」




クレアに胸に手を当てられると。




「嫌だー止めてくれー‥‥あれ痛く無い」




「お主の体が竜気を受け入れる体に成ったからだ」




確かに痛みは無いが、俺はクレアに触られると、体が硬直する、完全にトラウマに成っている。




そんなことを見ている美少女がいた。




「そうだそうだ、紹介しようダリアだ」




「こいつが迷惑掛けたみたいだな、ダリアラファンだ、世話に成る」




(えっ、世話に成るってなに?)




お互いに紹介しあい、一旦部屋に戻ることにした。




妃鬼は日本大使館の人達に良くしてもらったらしく、大使館員と一緒にエステを受けたり楽しく過ごしたらしいが、今は秀鬼とイチャイチャしてる。




皆で食事をしていると、大使がやって来て、明後日ダンジョン改変をして、その日に迎えの飛行機で帰ることに成った。




それまで、俺達はただだからとエステ三昧で過ごした。




グリフォンたちまで、ホテルの人達に可愛いがられ、体を洗って貰ったりブラッシングしてもらい、疲れを癒していた。




俺ものんびりしたいのに、王太子やお偉いさんが訪ねて来て、俺だけのんびりできなかった。




俺は知らなかったが、大使が他国人を排除してくれたので、面会の人数は絞られていた。




しかし、大使の手にあまる国の人間がやって来た。いまだに自分達が世界の秩序と勘違いしてるあの国、アメリカの人間だ。




俺は大使の頼みで仕方なく会うことにした。




(横暴な態度にでたら、ドラゴンコンビに頼んで、原潜をネバタ砂漠に放置してやる)




しかし、紹介されたアメリカ人達は思いの外紳士的で、なにも要求して来ない。




俺は肩透かしをくらい、なにをしに来たのか不思議に思ったが、その時は気にもしなかった。




それは、アメリカが雅也と言う人物を知る為の行動で有った。そんなこと、一般人の雅也は知るよしも無く、自分がアメリカの最重要人物で有ることなど知らず、普通に会話をし、確り人物像を把握されていた。




そのことにより、アメリカは日本政府に圧力を掛け、雅也に接触を掛ける計画を立てていた。




アメリカは雅也の二面性には気づいていなかった、普段は日本人的に大人しい性格で、アメリカは御し易いと勘違いした、しかし、雅也は村や仲間の敵に成れば容赦しない性格を知らなかった。




ダンジョン攻略の王主催の晩餐会を開いてもらい、俺達は王から褒美の品を貰い、翌日、ダンジョン改変を行った。




ダンジョン改変の希望を聞いていたので、それに沿って改変を行おうとすると、頭の中に今までと違う情報が入って来た。




それは、砂漠、山岳、火山、鉱山、エデンと今までに無かった項目だった、それと膨大のモンスター情報も含まれていた。




雅也は一瞬頭痛に見舞われるが、このことは知られては不味いと何事も無かった様にダンジョン改変を行った。




(この事は村に帰ってから皆と相談しよう)




それから、俺達はブルネイ国民に盛大に見送りを受け帰国することに成った。




好き勝手している、ドラゴンコンビを置いて帰ろうとしたが、大使館の人達に確り空港まで送られて来た。




(頼れる存在だけど、俺の精神安定の為にブルネイに残って欲しかった)




それから俺達は飛行機に乗り、 帰国の途についたが飛行機の中はイチャイチャする、秀鬼と妃鬼に当てられたのか、彼女達は俺に構い、グリフォンは自衛官たちに撫でられ、ほっといたドラゴンコンビは珍しいのか、機内を楽しそうに見て回り自衛官たちを困らせた。




(これ、普通の旅客機なら追い出されただろうな)




途中からドラゴンコンビが大人しく成ったと思ったら、機内に有る酒を凄い勢いで飲んでいた。




(今や貴重な酒を勿体無い、飲んだ分はドラゴンコンビを働かせることで許してもらおう)




そんなカオスな機内でも、飛行機は無事に横田基地に着陸した。




俺は村からの迎えを断り、グリフォンとドラゴンに乗り、無事に村に帰って来た。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る