第113話ブルネイ⑦


雅也たちは辛辣なダンジョンの砂漠エリアを走破しなんとか40階層主の部屋の前まで着いた。




途中から馴れたと言っても、かなりの時間が掛かり、ダンジョン最下層の100階層まで半分も来ていない。


それでも攻略すると言い切って来た手前、戻る訳にはいかなかった。




扉を開け中に入ると、体長30m位の大きな蠍が居た。


蠍の尻尾の部分か毒針では無く、ハゲ頭のゴリマッチョなオジサンの上半身が付いていた、しかもバカデカイ剣を持っている。




そんな狂暴そうな蠍を見て、何故か新撰組の彼女たちは笑みを浮かべていた。




砂漠の階層はモンスター自体は弱いが、ダンジョンの辛辣さに苦労させられた階層だったため、彼女たちのストレスは限界に来ていたのだった。




そんな彼女たちの前に今までの怨み辛みを晴らす相手が出てきてはいけなかった。




彼女たちは蠍男がなにやら叫ぶもお構い無しに、魔刀から斬撃を飛ばし、動きが鈍ると近づきシルバと一緒に、めちゃめちゃに蠍を切り裂いた。




(自分の妻ながら、その光景に俺は引いてしまった。絶対に彼女たちを怒らせてはいけないと心に誓うのであった)




「思った程強くなかったね」




「でも、なんかちょっとスカッとした」




「気持ち悪いけど、スッキリしたね」




「やっぱり、私達は戦う方がしょうに有ってるね」




俺は蠍より、彼女たちを警戒しながら、蠍をアイテムボックスにしまい階段に向かった。




そんな彼女たちを見た鬼人族は、鬼人族でもやっていけると褒め称えていた。




(鬼人と一緒って言われて嬉しいか、鬼は鬼でも鬼嫁って呼びたいけど、自分で地雷を踏む必要は無いと、そのことは俺の心にしまって置くことにした)




41階層は遺跡のようなダンジョンで、薄暗いが天井が仄かに光っていて、照明無しでも進めそうだ。




出てくるモンスターも、トロルやミノタウルスなど大型のモンスターが出てくるが、単体のため彼女たちの総攻撃に、為す術もなく倒されて行く。




そんなこんなで、連携しながら色々なモンスターを倒し、ダンジョンに入って20日が過ぎ俺達はついに90階層主を倒し、そこで休むことにした。




ちなみに90階層主はサイクロプスだった、鬼人族が言うにはまだ若い個体らしいが、7mは有る巨体でグリフォンたちが飛んで目を攻撃しなければ、苦戦しただろうと思うモンスターだった。




その頃、村ではドラゴンコンビによって問題が起きていた。




俺達の帰りが余りにも遅いために、ブルネイに行くと言い出したのだ。




館長も自分の判断ではどうにも成らないと思い、政府に確認したからさー大変。




しかも、ドラゴンコンビが人化できることを伝えて無いから、余計に政府は混乱した。




怒らせて日本を攻撃したら不味いと、緊急閣僚会議を招集して対策に当たっていた。




そんな傍迷惑なドラゴンコンビは、そんなことを言ったことも忘れ、人化したまま防衛班と草食モンスターを生け捕りにしたり、ゲームセンターで遊んでいた。




しかし、真面目な大人たちは、ブルネイとの交渉(勝手にドラゴンが行っても知らないぞと脅し)来賓として受け入れてくれることを承諾させた。




やっとの思いで調整をつけ、村に連絡を取り、館長はほっとしたがドラゴンコンビにそのことを伝えると、別に行かないで待ってても良いと言い出した。




館長も顔には出さないが、心の底から怒りが湧いてきて、なんとかドラゴンコンビをブルネイに送り出す説得をして送り出すことに成功した。




案内兼護衛のF-2が2機付くことに成り、ドラゴンコンビを横田基地に連れて行った。




そんなドラゴンコンビが人化のまま現れたから、横田の自衛官たちは頭を抱えた。




(人化できるなら、民間機で良かったのでは?)




しかし、決死の覚悟で来たパイロットはヤケクソに成り、ドラゴンコンビにドラゴン化してもらい付いて来てもらうことを譲らなかった。




しかし、パイロットはドラゴンを甘く見ていた、ドラゴン化したドラゴンコンビは体長50m有るだ、離れた場所でドラゴン化したのに、横田基地の人々は2頭のドラゴンに恐怖した。




館長たちはパニックを治めるためにパイロットに出発を急かし。パイロットは自分の仕出かしたことを後悔しながらも、ブルネイに向け離陸した。




その頃、雅也たちはついに100階層に着き、ボスと対峙していた、ボスはキメラと呼ばれるモンスターで頭が山羊で鋭い角を持ち、体は猫科の肉食獣で尻尾が蛇のモンスターだ。




ただ、こちらは人間5人に鬼人族4人にグリフォン6頭シルバ4匹で1頭のキメラと戦うには過剰戦力だった。




俺が蛇を切り刻んでいる内にキメラは金棒で殴られ、刀で切り刻まれた。




(過剰戦力過ぎてキメラになんか悪いことしたみたいだ、ダンジョンも俺達を排除しようと、たくさんのモンスターを襲わせたが、しょせんレベル20では俺達の敵ではなかった)




キメラを倒すと、歩美がなにかを探している。




「子キメラちゃんー何処ですか?」




(いくら子供でもキメラは不味いでしょ、もし村の子供たちが蛇に噛まれたら大変だ)




「おっ、宝箱が有ったぞ」




「いやーキメラちゃんはキメラちゃんー」




(ちょっと、ひと安心)




その頃、村では羊のようなモンスターが子供を産み、村ではフィーバーが起きていた、歩美はそんな可愛いもふもふがいることを知らない。




宝箱を開けると中には、ターコイズのような石が一つ入っていた。




「これは転移石です」




「転移石?」




「これが有れば日本まで、瞬間移動できるの?」




「いや、それは無理です、ダンジョン内で行ったことの有る階層を移動できる石です」




「おおー」




転移石を使い、無事に1階層に戻って来れた。




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