第101話夏祭り①
今日は朝早くから騒がしい。
子供達の楽しそうな声が聞こえる。俺は良いけど、美咲に乗るのは止めてあげてアポロ、潰れちゃうから。
キングサイズのベッドでも、アムール虎の大人サイズに成った、アポロとアナトには狭い。
雪は俺の隣に潜り込み、太陽は俺の足元で寝ている。
まだ早いので美咲と風呂に逃げると、子虎と子猪達は外に駆けて行った。
あの子達も子供達の興奮が伝わったのかテンションMAX。
しかし、子供達の笑顔が戻って良かった。特に品川から連れて来た子供達は、本当に最初はどうなる事かと思った。
俺はなんの役にもたたなかったけど、奥様達が本当に良くやってくれたと思う。
来たばかりの頃は夜泣きして大変だった。でも皆で愛情を注いであげて今はあんなに笑顔ではしゃいでる。
親の居ない子供達は、村で里親に行った。館長の家も二人姉妹を引き取った。
里親に成りたい人は沢山申し出てくれたが、決めるのは子供達に任せた。
殆ど選ばれたのはベテランのお母さん達だ、ただ男の子の一人だけ保育士さんから離れなかった。
(保育士さんが巨乳だから、選んだんじゃ無いよな)
子供神輿も山車も準備万端で、山車は子虎と子猪で引く。山車の上には子グリフォンと小さな子供達が乗る。
子グリフォンも小さな子供に良い子良い子され、大人しく抱っこされている。
安全対策にグリフォン達と防衛班が付いているが、最近は村に近づくモンスターも居ない。
気を付けなきゃいけないのは、子供達の熱中症だ。こまめに休憩を取るようにして、休憩の度に飲物やアイスを配っている。
アイス等は横田から来た子供達は大喜びして、ちゃっかり親も喜んで食べている。
俺も子供達と遊んでいたいけど、横田から責任者が来てるので、色々話さなきゃいけない。
横田の責任者の八牧さんは元自衛官で家族の為に退官した人だ。まだ子供が小さいので退官して、横田の責任者に成った人で前は部隊長だったらしい。
最近は雑談から始まり、横田とうちの村で持回りで夏祭りをやらないかと提案された。横田単独でやるには、物資が心許ないし毎年お邪魔するのも気が引けると。
その為にも、うちの村と横田周辺の安全確保の為に、広範囲のバリケードを設置していく計画を立てようと話し合った。
二人で話しても、これから詳細な計画を経てなきゃいけないので、まだまだ先の長い話だ。
それと、立川の話だが、来週いよいよクーデターを起こすらしい。元自衛官達が中心に成り行動を起こすらしい。立川は今バリケードの外に人を出さず、民衆が他に逃げない様にしていて、中は酷い状態らしい。
自衛隊の特殊部隊が中の元隊員達に武器を渡しているらしいが、基本無血開城を目指しているらしい。
こんな時なんだから、人間同志で殺し合いは止めて欲しい。
内閣も制圧後、大島から立川に移す事は決まったので、戦力が増えれば、都内は無理でも多摩地域を安全エリアに出来るかも知れない。
それでも大型輸送機は立川には降りられないから、八牧さんは横田の重要度が上がり横田が輸送窓口に成ると喜んでた。
立川に本部を移した後、空輸出来ない物は、圏央道を使い横浜から輸送するらしい。
俺達が横浜のワイバーンを倒した事で横浜港に拠点を造ったようだ、大臣達はなにも言って無かったな、今更借りも無いだろうに。
(なにも問題無く進めば良いけどな)
会談も終わり、二人で祭りを見て回る事に。
祭り本部に顔を出し、トラブルが起きて無い事を確認する。
本部横では横田から持ち寄った物と物々交換が行われている。
ここで交換してる物は基本趣味の物だ、横田からは米軍の置き土産が多い。
生活必需品は横田と村でやり取りしてる、かなり横田に貸しを作っている状態だが、元々俺が拝借した物なので基本援助している。まだ中も確認してないコンテナも沢山有るので気にしない。
反対側の救護所では、館長夫妻が爆発音と共にポン菓子を作っている。この機械は館長の倉で眠っていた物で、何で倉に有ったかは館長も知らないらしい。
救護所には転んだ子供くらいしか来て無くて、恋花はポン菓子以外の屋台もやりたかったとぼやいていた。
しかし、色々な屋台が有る。りんご飴にチョコバナナ、綿菓子、焼そば、焼鳥、焼オーク、お好み焼き、たこ焼き、虹鱒焼、カップケーキ、ドーナッツ、かき氷、たい焼き、ベビーカステラやクレープまで有る。
しかも笑えるのが、沖田のオヤジ引きいる職人集団、皆ハッピ着てヨーヨー釣りや的当てなんかをビール片手にやってる。
ちび達はお昼寝らしく、小学生達が一生懸命景品を狙ってる。
大きなぬいぐるみを取る、本物のクレーンでやるUFOキャッチャーは、行列が出来てる。
安全の為に稼働範囲を制限してるせいか、中々取れないみたいだ。
文句が出ると、重機のプロの歩美が実演で簡単に取って見せている。
(歩美さん、子供にどや顔は止めなさい)
俺も一通り見て回ったので八牧さんと別れ、沖田のオヤジさん達と飲む事に。
職人達も彼女が出来たり、奥さんが手伝いに来てる人を羨む集団から、俺になんとかしてくれと言われるが、そこまで面倒見れないので頑張って貰うしか無い。
前にお見合いパーティーを開こうとしたが、女性の方が多いので、溢れた子が可愛そうで計画は消滅した。
のんびり飲んで過ごして居ると、4人の義母さん達がやって来て、楽しい飲みの席から連れ出された。
どうやら、盆踊りの前に浴衣を着せるらしい、俺は自慢じゃ無いが旅館の浴衣さえまともに着れないのに。朝起きると帯だけ残して裸で寝ている特技の持ち主だ。
4人に服を脱がされパンツいっちょにされ、浴衣を着させられるが、帯ってそんなにキツく巻く物なの。
ちゃんとした浴衣を初めて着たが、旅館の浴衣とは違うな。道場に通い出してから姿勢も良くなった様で中々似合ってる。
俺は雪駄を履いて、浴衣に着替えた新撰組の彼女達と祭りに向かう。
彼女達の浴衣姿も新鮮だ。どうしてもうなじに目が行ってしまう。
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