あなたを殺しに伺います

リー砂糖

第1話 手紙

「タクミさん宛てにお手紙が届いています。」

休日のワイドショーで芸人が街をぶらぶらする番組を見ていたところ、妻が手紙を差し出して来た。

どうせクレジットカードの請求書かなんかだろうと俺は思った。

「そこらへんに置いとけよ。いつもの別にどーでもいいやつだろ?」

「え?なんか手書きだし、中身見た方が良さそうだと思います。」

ったくめんどくセーなと思いつつ、手紙を受け取る。

宛名は確かに手書きで、ちょっと丸みを帯びた女子っぽい感じ。裏返してみるが、背面には何も書かれておらず差出人は不明。

「それ、女性っぽいですよね?だれです?もしかして浮気……?」

妻が顔を悲しげに歪ませながら上目遣いで見つめてくる。トドみたいな寸胴体型で、ブサイク芸人にでも慣れそうな面でそんな顔されても萌えねーと思う。

「さあ、わかんねー。中見てみるわ。」

俺は、封筒をびりっと適当に破り開けた。

「おっ、中には紙切れが一枚入ってるみたいだな。」

三つ折りになった紙を広げて読み上げた。


『あなたは私を愚弄した。

私はあなたを許すことはありません。

私はあなたを苦しみの沼に沈めるでしょう。

最後に私はあなたを殺しに伺います。



MK』








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あなたを殺しに伺います リー砂糖 @yomeno_kudzilla

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