第55話 十二支の慰労会
『ヒヒーン』と午(うま)が鳴き声をあげ、今年も宴は始まった。
亥年ももうすぐ終わる。
毎年末に十二支揃っての慰労会が開催されているのだが、毎回翌年の干支の担当が幹事を勤め一年の抱負を語ることとなっている。従って今回の幹事は子(ねずみ)。
だが、毎度注意を配らなければならない者がいる。それは猫だ。
子に嘘をつかれ、十二支に選ばれなかった猫は子を恨んでおり、毎回現れては喰おうとするので、他の干支たちはいつも気が気ではない。神様も参加していらっしゃるので、失礼があってはならないのだ。
警備には同じネコ科の寅が当たる。猫は寅が相手では、猫パンチも決まらにゃい。
早速猫がどうにか忍び込もうと近づいてきたが、会場を一目見ると、珍しく直ぐに諦め引き返していった。──そこには湯気が立ち上っていた。
幹事のカピバラは安堵で目を細めると、深く湯に浸かった。
他の干支たちは初めての温泉に、気持ち良さそうに瞳をキラキラと輝かせた。
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