第51話 白い蝶
三毛猫のミィが亡くなるちょうどその時、気づかぬ間にこの部屋へ入り込んできていた黒い蝶が、その鼻先へ止まった。
蝶はミィの鼻から頭頂部へひらり、と移動すると、ミィの鼓動が停止するのとほぼ同時に、羽根を広げたまま動かなくなった。
ミィを迎えに来てくれたのかな?
私はミィとその蝶を一緒に、一つの箱へ納め弔った。
その夜の夢で、ミィは人間の言葉を喋っていた。白装束を着てなかったから、三途の川で止められ叱られたと、舌をぺろりと出した。
翌朝、庭に迷い混んできた成猫はミィと同じメスの三毛猫だった。
どこから来たの?と私が抱き上げると、尻尾をピンと立てた。
戻ってきたミィと、一年という短い月日を共に過ごした。
最期の日、モンシロチョウが部屋へ入ってきて、ミィの鼻先に止まった。
あぁ、そう言えば前は黒い子だったけど、今度は白い子が白装束を持って、迎えにきてくれたんだね──。
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