第25話 傘オバケ

 小雨が降りだした夕方、ベランダの扉を

 コンコン

  コンコンッ

 と叩く音がする。まさか不審者……!?

 私はビクビクしながらそっとレースのカーテンを開けた。


 正面に人の姿は見受けられなかったが、視線を少し落とすと、傘の形をした一本足の妖怪が立っていた。

 それはネットで見たことのある姿ソックリで一つ目だったが、私は不思議と怖いとは思わなかったので扉を開けた。


「どうしたの?なぁに?」

 傘オバケはベランダにあるパラソルハンガーを大きなベロで巻き上げこちらに差し出している。

「ありがとう。でもこれは使えないの」

私はそれを受け取り広げて見せた。

「アッアー‼」

傘オバケは驚いて少し後退りし、修理に出さないのかと言っているようだ。

「これは傘じゃなくて洗った着物を干すものなのよ」

「アーーーー!!」


 ようやく納得したのか、その場でピョンッと飛び跳ね次にペコリとこちらへ頭を下げ、そのままピョンピョンと恥ずかしそうに跳ねて去って行った。

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