第24話 あの御先祖様に会いたい

「曾祖父とはやっぱり気が合うわー‼」

同僚がランチを食べ終え、食後の珈琲を片手にそう話している。


「ひいじいちゃんに会ったんだ?」

「あぁ。今度のプロジェクトに何が足りないのかさっき意見を聞いたんだよ。そしたら俺が思ってるのと同じ答えでさぁ。遺伝子って凄いよな、安心したよ‼」

「それは良かったなぁ!」


 うちの会社では、仕事を率先して引き受けたり、いいアイディアを提案して相手を笑顔にし体温や口角を上げると、それを認識した自分の腕時計型のICチップが青色に点灯し

『ようやったやん!』

というメールがPCに届く仕組みなのだ。

 

 そのメールにはその人の為だけのリンクが貼ってあり、それをクリックすると自分の家系図が表れ、ご先祖様のうちの一人を選ぶと少しの間だが会うことができるのだ。

 それもこれも、タイムマシンを極秘で開発していた社長のお蔭だ。


「会いたくない親族は選ばなくていいし、こんなに効率的な墓参りはないよな‼」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る