第12話 ワンワン人形

 俺は遂に本物の犬のような犬型人形を完成させた。

 

 このワンワン人形は本物ソックリで、スイッチを入れるとまるで生きている犬のように尻尾を振り、飛び付いて甘えて来るのだ。

 だが餌は喰わないし糞尿もしないうえ、自分が寝る前にスイッチを切るだけなので、睡眠の邪魔をされない最高の代物だ。

 充電式なので少しの電気代だけ払えばいい。

 俺は広い庭を持つ一部の金持ちしか飼えないシェパードと暮らすのがずっと夢だったので、このワンワン人形もシェパードと同じ見た目にした。


 始めの一ヶ月は嬉しくてずっと触っていたが、その後はたまにしか触らなくなった。

 俺の飽きっぽい性格ではやはり本物の犬は飼わなくて良かったと思い始めた頃、スイッチがいきなり壊れた。

 それは飲んで帰宅した夜のことだった。オフに出来なくなった人形は、しつこくまとわりついてくる。


 堪らずイヤになり、思わず窓から放ると、そこを歩いていた人にぶつかってその人を殺めてしまい、俺は犬のように檻に入れられた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る