第10話 胃袋レンタル屋さん
忘年会シーズンが近づいて、胃袋レンタル屋には結構な行列ができていた。
胃腸の弱い私は、早い時期にネットで予約しておいたので、予約者専用レーンに並び数十分で順番が来た。受付で記入しておいたカルテを見ながら、店員がテキパキと作業をしている。
『少し大きめで、アルコールを受け付ける胃袋ですね?』
「は、はい。宜しくお願いします」
麻酔で少しの間眠らされた後起きてみると、早速胃がぎゅるぎゅると音をたて、お腹を空かしていた。
『これで処置は終わりました。三日後、返却の施術を行うので、ご予約の時間に遅れないようにこちらにお越しくださいね』
そう言いつつ見せてくれたのは、私の元々の胃袋と、レンタルで借りた胃袋の画像。もう見た目からして、全く違う。
心置きなく忘年会を堪能した私だったが、三日後再び来ると、店員が客たちに頭を下げ何やら謝っている。
『借りた胃袋を気に入ったお客様が返却に来ないので、もうお貸しする胃袋が無くなってしまいました』
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