第2話でろでろがぞろぞろ
科学が進んだ時代。しかし科学では証明できないものも多い。社会にはびこる魑魅魍魎をいともたやすく消し去ることのできる探偵がいるらしい。その探偵を人々は“不可思議探偵”と呼ぶ。
私はストーカーに追われている。でも普通のストーカーじゃない。全身が黒く、目のある部分は目玉がなく、ドロドロとした見た目。しかもそれがいくつもいる。こんなのに追われていることは誰も信じてくれない。
「(追いつかれる!)」
このドロドロとしたものが私に触れようとした瞬間、
ザシュッ
と刀がドロドロを斬ったのが見えた。
「ありゃまあ、ドロドロがゾロゾロと。」
と刀を持った青年が現れた。お気楽に駄洒落まで言っている。
すると青年は刀を構えると
「ふんっ」
と一撃ですべてのドロドロとしたものを倒した。
「お姉さん大丈夫?」
青年が話しかけてきた。
私は何が起きたのかわからず、言葉も出なかった。
「落ちつける場所に行こうかすぐ近くに知り合いの店があるから。」
私は青年に連れられるまま、その店に行った。
「(こんな店あったかしら?)」
その店はレトロな作りで、にぎわっている街には少し浮いているような落ち着いた喫茶店だった。
「おやっさん、なんかあったかいものを出して。」
と青年が言うとおやっさんは使い捨てカイロを渡す。
「そうこれこれ、寒い時の必需品だよな。って飲み物だよ!カイロは飲み物じゃないだろ。」
と青年が一人ボケの一人ツッコミしていると。おやっさんはクリーム色の飲み物を出してきた。それを青年がお冷とともにその飲み物を持ってきてくれた。
「エッグ・ノッグのアルコールなし。簡単に言えばミルクセーキの温かいバージョンって感じだよ。」
いただきますと私はエッグ・ノッグを口に含んだ。甘くて優しい味だ。
「どう?落ち着いたかい?」
と青年が私に声をかける。
「はい、少し、落ち着きました。」
「それはよかった。」
と青年は笑った。
するとおやっさんのほうから
「その子は一体どうしたんだい。」
と声がした。
「路地裏ででろでろなものに追われてたから。俺がでろでろを切り払った後放心状態だったからまあここなら安全だろうと連れてきた。」
青年はいきさつを話した。
「自己紹介がまだだったね。俺は穂村ケイト。ケイトと呼ぶ人が多いよ。後これ名刺。」
とケイトと名乗る青年からPDCとロゴの入った名刺をもらった。そこには
「探偵?」
とあった。
「そう、まあ便利屋に近いことばかりしてるけど一応は探偵を名乗っているよ。」
すると私は思い出したように
「刀、探偵が銃刀法違反してるなんてより捕まるんじゃないの?」
と見渡してもケイト自身を見ても先ほどの刀がない。
「ああ、あれは特注でね、さっきのでろでろみたいなものしか切れないんだ。警察にもコネがあるし、ああいう妖怪の類以外には使うことはほとんどないよ。」
とケイトは言った。
「さっきの妖怪なのね…。」
私はさっきのことを思い出して怖くなった。
「ああいうのに追われるのって初めて?」
とケイトは話しかけてきた。
「ええ、初めてよ。」
私は答えた。
「それほど強い妖怪と言うわけじゃないけど、お姉さんは霊感強いわけじゃないようだし、普通の人なら見えないから襲われても無害なやつだったんだけどさ、なんで襲われたかだ、最近人に恨みを買ったようなことをした?」
と言うケイトに対して
「いえ、ないはずよ。」
としか言えなかった。
「んーまあ偶発的なもののようだからさ、今後ああいうことにならないようにその名刺お守り代わりに持ってて。」
「ありがとう。」
そして私は何事もなく帰路に着き、普通に寝た。
もうあの恐ろしいものに追いかけられることもなくなっていた。
「だりゃーっ」
「シンヤ、ナイス」
「こっちも片付いたよ。」
「あとは結界を張るよ。」
と妖怪退治にケイト以外の同じ探偵社のシンヤ、ヒトシ、リョウタ、ショウゴが来ていた。
ショウゴが持つ杖から光があふれだし、フィルターのようなものが現れた。
「結界張れたよ。」
「ショウゴありがとう」
ケイトは礼を言う。
「この交差点はある角度からだとカーブミラーが合わせ鏡になっているんだな。」
とシンヤが冷静に現場を見る。
「合わせ鏡は降霊術に使われるもんな。」
とショウゴが語る。
「それに昔から交差点、辻では妖怪が出るといわれているからな。」
リョウタが説明する。
「交差点で合わせ鏡とか生ごみ放置して長期旅行に行くようなもんじゃん。そりゃ妖怪なんかが沸いてくるさ。」
とヒトシがこの現場の状況をたとえで説明した。
「あとはショウゴの結界が効くだろうから問題はない。」
とケイトが言った。
“不可思議探偵“それは科学では解明できない問題を解決できる探偵。
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