12
その一方で、時坂はバツが悪そうにしながらも俺の方の体重を乗せてホッとしていた。だが、俺には何もないらしい。
少しは早めに立ち上がって欲しいのだが……。
だが、流石という長塚は簡単にコップを元に戻し、時坂の傷も治したのだ。
長塚の瞳は笑っていた。
「それで……?」
それで、と言った後何を言うのだろうか。それは俺達を見て言いたそうな声だった。人差し指でその方向を指す、どう見ても俺達を示している。
「それで、二人はいつまでその態勢でいるわけ?」
「「はぁ?」」
俺と時坂は互いに見つめ合い、ゆっくりと下から上へと見た。あ、なるほどそういう事か。と納得した。
「桐谷君、いつまで私を抱いているつもりなのかしら?」
時坂が顔を赤くした表情で俺を見下してくる。当の長塚は腹を押さえながら笑いをこらえているようだった。
「それにしてもさぁ……。時坂さん、集中するのはいいけど、気が抜けそうになったらその前に辞めないとダメだよ」
「……。ま、今度は気を付けるわ。それにしてもあなたの魔法は便利な物ね。物理的性質であるのを直すなんて驚いたわ。」
本当に俺も驚いたわ。本当に魔女というよりも魔法少女と言った方が可愛くていいんじゃないのか? JK魔法少女。なんだかおかしな名だけど、しっくりと来るな。
「物理じゃなくても存在しないものでも触れるようになるんだよ。例えば空気、無いようであるこの空気でも魔法を使えば集めることができ、存在自体をこの世に表現できることがあるだよ……」
長塚はそう言った。
「ほら、これがこの世界の空気」
じっさいに球体状に集めて見せる長塚。
予想外の出来事に時坂は言葉を薄なった。
「…………」
たぶん俺にとっても、時坂にとっても空気を実査にこうやって黙視するのは初めての体験だっただろう。
時坂は長塚が出す空気の球体に手を伸ばして触ってみる。中は一体どんな感覚を体験できるのだろうか。
「……時坂、空気はどんな感じなんだ? 俺にも説明してくれよ」
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