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「ねぇ、自分で言っておいてなんで俺が訊くことになるわけ? 普通はお前が訊くべきじゃないの? どう見てもおかしいよね?」
「いいじゃない。私、今、すごく機嫌悪いの」
「二人って……仲いいの?」
「仲良くないわよ。それ以下と言ってもいいわ……」
時坂は彼女の問いにこう答えた。それ以下というのはどう表現するのだろうか。そう言われて、長塚はクスクスと笑う。
「そうかそうか、それは悪かったよ……。私って、この世界の事をよく知らなくてさぁ。二人がこんな簡単に会ってくれるとは思わなくて……」
「会ってくれる? どういう事……」
え、俺は長塚に呼び出されたのか……?
「どうやって、私達を呼んだの? 声は桐谷君だったわよ」
「そうか。こんな簡単な手品、知らないんだ……」
「え? それって……」
時坂は驚きが隠せず、表情が一変する。
おいおい。そんな事、プロでも難しいぞ……。
長塚は人差し指から光を生み出し、目の前に時坂と同じコーヒーを出した。目を疑うように何度も目を擦るが、はっきりと存在している。
『
「と、時坂の声……。その口調は……」
長塚は自慢げに俺を見る。
『お前、いちいちうるせぇ。時坂、聞いているのか?』
それは俺と時坂の声真似だけではなく。本当に本人が話しているかのような完璧にコピーしきった芸当だった。プロでも少しずれていたり、トーンが低い時が分かるが、はっきり言って彼女の今見せた芸当は本物以上である。
すると、彼女は超能力者なのか?
「お前、一体何者なんだ?」
いきなり立ち上がって、長塚に怒鳴ってしまった。
「い、いやぁ……。それよりも落ち着きなって……。周りの人、驚いてるよ……」
長塚は苦笑いをして、俺の服の袖を手で引っ張りながら座らせようとしている。彼女は超能力者じゃない、魔法使いだ。そして、時坂が口を開く。
「そうよ。ひとまず、彼女がおかしな魔法つ……」
「それ以上言っちゃ駄目だよ……。魔法使いは正体を多くの知られてはならないんだよね。これ、常識だから……」
「…………あ、うん」
一瞬で時坂の口を塞ぎ、笑顔でこれ以上話したら殺すみたいな雰囲気を漂わせていた。
「長塚はどの世界から来た人間なんだ?」
「この世界と同じ……。いや、ちょっと似ているけど、簡単に言えば鏡の世界から来たって言ったら分かりやすいかな?」
「鏡の世界。つまり、同じ世界であり、向こうでは魔法がある世界って事だな」
未来、時間停止、鏡の世界ときたものだ。それぞれが違う世界からこの世界に集まっている。それも時坂を中心に動いているかのように。
……なんだか、ややこしくなってきたな。
本当に整理しにくい。
全ての情報が揃わな過ぎて、結局は一から考えるのが面倒になってくる。三点世界と言ってもいいのだろうか。
「結局どうやってその鏡の世界からお前はこの世界に来たんだ?
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