3
心なしか頬を赤らめて、未だに小笑いする
そりゃまあ俺と時坂は生きている時代が違う人間であり、百年間の流れはすぐに埋まるわけがない。それにしても俺の謝り方のどこに彼女を笑わせるツボ的な場所がどこにあったのだろうか?
だが、そんな事はどうでもいい。考えるだけ無駄な時間である。
「まぁ、俺達の他にもこれからそんな奴が現れてくるだろうさ。そもそも、この文芸部は何かしら他とは違う空気がある」
「…………」
時坂はそう言われると俺の方を見たが、すぐに顔を俯きながら何かを考えだしたのだ。
その
「俺が未来人だとして、時坂が閉じ込められた住人だとすると、次は一体誰が来るのやら」
「そうね。もしかすると、百年前の過去人が来るかもしれないわよ。あなたみたいに……」
そう言って俺を面白がるのを誤魔化すかのようにスカート丈を触る時坂。
「今まで『時』がキーワードになる二人が現れたじゃない。あなたとは違う意味だけど、少し似ているのが気に食わないわ」
最後にそう言葉を付け加えた後、時坂はフフンッ、と自慢げに俺を見た。なんだか勝ち誇ったような感じで苛立つ。
「過去人は無理があるだろ……。さすがにここで違う分野の奴が来ないと色々と困るところがある。これ以上、キャラが重なると問題なる」
「キャラが重なるって……。どう感覚の持ち主なの……?」
時坂は額に手を当てて、呆れた顔で俺を見た。その表情を見て、言った自分が少し恥ずかしくなる。
「魔法、宇宙人、超能力、そんな力を持った奴とかが来ると違うだろ?」
だが、時坂はふっと面白おかしく笑った。
「宇宙人は違うと思うのだけれど……。それに宇宙人って人間って言えるのかしら? 地球に存在しない生き物で宇宙から来た生物の事を宇宙人というんじゃないの? 宇宙人って、私達と何が違うのかしら?」
「それを俺に訊かれても分かるはずがないだろ……」
自分が思ったことをすぐ、俺に回してくる。
「それで、お前が思う宇宙人とは?」
俺がその質問に質問を返すと、時坂は少しばかり考えるようにまた黙りだした。そして、小さく頷き、口を開く。
「それは……宇宙船とかに乗ってくる人達かしら?」
「俺が言い出したのもなんだが、そういうものなのか?」
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