20
「お前がアーサーの主であるミラか。感謝しよう。ここまで奴の力を使って良く戦ってくれた」
「あ、あなたはもしかして……炎帝竜ジークフリート————なぜ、
「それは人の憶測だろ? 私は一度たりとも人間嫌いと言った覚えはない。むしろ、それは中にそのような竜はいる。他の帝竜にも同じような奴はいる……」
ミラの問いかけにも、ジークフリートは涼しい表情で黒き竜を見る。
「まぁ、今の竜たち、他の神や悪魔などの種族もまた、意見は二つに分かれている。それよりも竜二、その娘を抱えて山を下りろ。ここからは私、炎帝竜が相手をしよう」
「お前、何を言って……」
目を丸くして、言葉を詰まらせる。
ギャァアアアアアアアアアア!
————なんだ、この声は!
二体の竜以外の声が聞こえてくる。その鳴き声はものすごい重圧がかかっている。
双竜の宙に舞うもう一体に竜、水色と青色が混じった羽がはっきりと見える。
————おい、おい……なんで三体目の竜が現れるんだよ。
炎帝竜より少し小柄な体型の竜は
あれはもしかして水の竜、炎帝竜とは対になる
だが、少し違う。水帝竜に似ているがどこか似ていない。
ジークフリートはその青き竜を見上げながら口を開く。中から炎が漏れてくる。
だが、青き竜は容赦なく攻撃態勢に入っている様子だ。水の魔法、火の魔法には強力な魔法だ。相性が悪い。
「————あれって、まさか……」
その大きな翼に水の魔法が加わり、急降下してくる。
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