第6話 紫蝶病裁判

 論点は何と言っても次の点に尽きる。


「黒江貫三郎は九条千鶴を救う義務があったか」


 一見答えは明確のように見える。


 検察側の主張としてはこうだ。

 その時村にいた紫蝶祈祷師は黒江一人だけ。紫蝶病が発症したということを知っていたにも関わらず、何もしないということは、千鶴を見殺しにしたということになる。

 これはれっきとした犯罪であり、刑法第219条の保護責任者遺棄致死罪にあたる、という主張である。


 しかし、これに対し最強の弁護軍団を結成した黒江側の主張はこうである。

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