第2話

「ア、アウトローって何ですか?それ?」

いきなり言われた意味不明な言葉に私は、聞き返す。

「ん?、君は、面接希望の電話をかけて来て3分後にこの部屋のドアを勢いよく開けて椅子に座り虚ろな眼をして『雇ってください!!OLに!!』と言う物だからてっきり内容を知っていると思っていたけれども・・・まあ、なってしまった物は取り消せないよ。諦めたまえ。あっはははは!」

と目の前に座る紳士が言う。


「そ、そもそもoutlawって何ですか?」

と私は、紳士に問う。


ニヤリと笑った紳士が

「先程も言ったが、法外追放者、outlaw(アウトロー)、昔のアメリカ西部で犯罪を犯した者がなったまあ、無宿人や追放された者を指していた。現代では、裏社会や国から依頼を受けてヤバイ仕事をする者達が、一番判りやすいかな?それこそ一切の法的保護が無い代わりに何をやろうと自由、その代わりに法的に存在もしないので殺されても何をされても文句を言う事が出来ない。そして報酬は破格!どうだい?今、もう手続きをしてしまったから君は正式に存在しないOLになってしまったよ?ワッハッハ!」


「えっえー?存在しないですって?まだ私、恋愛も結婚もして無いのにこれからどうしたら良いんですか!!」

と、勢いよく立ち上がり紳士が座っている前にあるデスクにバンと手をつきながら怒鳴る。

「ワッハッハ!君、やっぱり面白い娘だねー。戸籍や法的保護が無い事より恋愛や結婚の心配をするなんて、向いているよOLに」

と馬鹿笑いしながら紳士が言う。


「わ、私は、田舎から出てきて良い会社に入ってOLになって素敵な旦那様を見つけるのを目標に都会に出て来たんですよ?田舎の山の中でクロスボウで猪や鹿を狩ったり。たまたま山の中で出くわした熊を爺ちゃんから貰った脇差しを棒に括り付けて槍にして倒したりなんて生活から抜け出して新興住宅地で可愛い奥さんをと思ってたのに!!」


そんな私の言葉を聞いた紳士。

「クロスボウで猪や鹿を狩り脇差しを槍にして熊を倒した?その熊って月の輪熊?」


「いえ、羆です。巣穴に潜って槍で・・・」

えいっと突き刺すポーズをしながら私が言う。

「・・・・、君、もう最初から十分にoutlawだよ・・・それは。研修要らないね・・・」

紳士は、遠い目をしながら私に言った。



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