期待
いつも応援頂きましてありがとうございます。
とても励みになっております^^
第二章に入ったばかりですが、新キャラも出てきて盛り上がっていく(はずです)ので、今後ともよろしくお願いします。
今回もそれなりの謎が順次解かれていく内容になっている(はずです)ので、楽しんでもらえたら幸いです!
初めての方、ぜひ作品フォローしていただければこの上無く嬉しいです!
では、引き続き本編をご覧ください。
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暖かな陽光のように晴れやかな笑顔と周りの空気も浄化するような雰囲気。英雄という称号を聞いてウキウキするアムからはそんな力が発せられてるように感じる。
彼女が死線を踏み越えまた戻ってくるような人生を歩み、陰力という負の力の塊にもかかわらず正反対の力を振り撒いている。その理由は気になることではあるが、ひとまずそれは置いておいて俺は彼女に一言釘を刺す。
「アム、期待に胸躍らせるのもいいが、聖闘女の役目を果たすなら急いだほうがいいんじゃないのか?」
「すまない、その通りだな」
アムは表情を引き締めて姿勢を正すとタカさんに向き直った。
「ではタカさん、族長の館までの案内と推薦をお願いしたい」
「おい、アム。タカさんたちはこの街門の守衛なんだから勝手にここを離れるわけにはいかないだろ」
「それはわかっている。だが、わたしたちがいきなり族長のところに行って力を貸したいなんて言っても門前払いになるのが関の山だ。また今みたいに実力を証明するところから始めるか?」
「あっ」
「素性のわからないわたしたちを取り持つに信用のある者がいてくれたら手っ取り早い。だからお願いしたいんだ」
アムの言うことはもっともだ。ましてや、魔女の災厄に見舞われている大変な状況でまともに話を聞いてもらうのも難しいかもしいれない。
「わかった、俺が付き添おう」
アムの話を聞いて考えていたタカさんが了承してくれた。
「トシ、ここはお前に任せる。何か聞かれたら強力な助っ人を族長に紹介しに行ったと伝えてくれ」
「はい、了解しました」
トシさんんは姿勢を正して敬礼する。タカさんは門の横にある守衛口に向かい街門の内側の守衛に開門を指示した。
戻ってきたタカさんが俺の顔を見ると、そのまま俺のそばまで寄ってきて耳元でこう言った。
「君の彼女、可愛い顔して凄まじい強さだな。言いたいこともハッキリ言うし、頑張らないと尻に敷かれっぱなしになるぞ」
なんの脈絡もなく言われた言葉に返す言葉が浮かばず、必死に頭を回転させて出た言葉は、
「彼女じゃありません、可愛いとは思いますが、彼女じゃありませんよ。でも彼女は俺の目標でいつか横に並び立ってみせます」
「なんだ、まだ片思い中なのか。早く想いが届いて横に並べるといいな。頑張れ若者よ」
俺の言葉をどう受け止めたのか、そんな言葉が返ってきた。
「いや、そうじゃなくてですね」
俺の返答を聞かずタカさんはトシさんのところに行って腰に巻いたベルトポーチを渡して何ごとか話している。
『アムが彼女とかそんなふうに見えるのか?』
チラリとアムを見るとニコリと笑顔を俺に返してきた。妙なことを言われ意識してしまった俺は目をそらしてしまう。
「どうした?」
「いや、また面倒なことに首を突っ込むんだなって」
それらしく話題を振って誤魔化すと、
「面倒なものか。困っている人を助けるのはわたしの望むところだ」
いつものアムらしい言葉が返ってきた。
俺たちはつい先日、小さな里の大きな事件に首を突っ込んできたばかりなのだが、到着したばかりのこの街でも首を突っ込もうというのだ。
大変な事態ではあるが、この街の問題なのだがら今無理にかかわる必要はないのとも思える。
アム自身が言ったように元とはいえ聖闘女である彼女は英雄としての自負、というより、真の英雄になりたいという英雄願望が人並外れて強い。自国で英雄と呼ばれてはいても偽りの英雄だった自責の念がその英雄願望をさらに強くしているに違いない。
「またせたね」
タカさんとトシさんが守衛業の引継ぎを終えたらしい。そして、ゆっくりと街門が開き始めた。
「遅ればせながら自己紹介だ。俺はウォーラルンド東門守衛責任者のタカラル=アーズマン。白の塔の一族の者だ」
「白の塔の一族?」
「そうだ、この街にある、赤、青、黄、白の魔女を封じる塔があって、大昔に聖霊仙人と一緒に闘った四人の闘士の一族が管理しているんだ」
「ちなみに僕は青の一族。トシガ=セニージ」
「魔女の封印を護るのが一族の使命で、この街も魔女を封印した地に人が集まって街になったんだ」
確かにクレイバーさんの資料に載っていた昔話にもそう書いてあった。
「俺はラグナ=ストローグです。彼女は聖闘女の娘のアム=クルーシルク」
愛称を本名として紹介され、なにかむずがゆそうな表情のアム。
「そして、こいつはエルライドキャルトってう牙獣類で、名前はグラチェ」
グラチェはアムの横に並び出て返事をするようにタカさんを見て鳴いた。
「そうだ、タカさん。グラチェも連れて入って大丈夫なんですか?」
幼獣といういこともあって体もそれほど大きくなく、品の良さそうな毛並みを持ち、大人しくアムの後ろにくっついているグラチェは一見危険度は高く感じない。知らない人から見れば風の四聖獣であり牙獣類の最強種だとは思わないだろう。
「守護獣の種類によっては預かる場合がある。中に入る場合も封環という力を抑える法具を付けてもらうんだが、今回は俺が付き添うからいいだろう。それにその守護獣は四聖獣だろ? そいつも戦力と考えさせてもらうよ」
タカさんはグラチェの種族を知っていたためすんなりと了承してくれた。そのことも含めて、俺たちに対する期待は大きいようだ。それくら街の状況が苦しいと判断しているのだろう。
「まぁ詳しい話は向かいながらするとしよう」
俺たちは二メートルほど開いた街門の隙間を潜って街に足を踏み入れた。
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