第三話 6-11
3
パーティーはいまだ絶賛継続中であって、周りからはあちこちでワイングラスを打ち鳴らす音が聞こえてきて、楽団の人たちが優雅なクラシック曲を演奏している。
ただそんな中で……俺は、アフリカツメガエル(外来種)の群れの中に取り残されたアマガエルのごとくぼっちになっていた。
理由はいくつかある。
まずは
その後に
そして
結果として、セレブ感あふれる
「……」
今の内にトイレにでも行っておくか……
他にすることもなかったのでそっと会場を抜け出して、お手洗いへと向かう。
トイレは部屋からそれなりに離れたところにあった。ちなみにトイレだけでうちの居間よりも
「ふう……」
無事に
さて、会場に戻ろうかと思いきや、
「……あれ?」
ここ、どこだっけ。
足が止まった。
確かパーティー会場を出てすぐの角を右に曲がって、その先を五十メートルほど直進した後に左に折れて、その後にまた右に曲がったはずだ。……あれ、左だったっけか……?
一度迷ってしまうとさっぱり分からない。
ほとんど迷宮レベルの複雑な構造である。
だれかに
仕方がないのでとりあえず適当に歩いてみるも、まったくもってパーティー会場に帰り着けない。
それどころか、どんどん周囲の雰囲気が高価そうな彫刻とか巨大な熊の剥製とかウインチェスター銃とかが置いてある
不安でちょっとだけ泣きそうな心地になっていると、
「どしたの、おに~さん?」
「!」
ふいに声がかけられた。
どこか舌ったらずなのだけれど、よく通る耳当たりのいい声。
振り返るとそこには……一人の女の子が首を傾けながら立っていた。
「こんなところで何やってるの? こっちは
髪の毛を二つ結びにした小柄な女の子で、見上げるようにしてそう言ってくる。
す、救いの女神……? 救世主……?
にしては少しばかりちんまいような。
ツインテールを合わせても俺の顎くらいまでしかない。
というかこの子……
「
よく似合ったツインテール、ぱっちりとした目元、
中学生くらいだろうか。よく見れば
「ん?
女の子がそう尋ねた。
「えっと、きみは……」
「わたし? わたしは……えっと、
「
なるほど、それなら似ていてもおかしくないのかもしれない。
「おに~さんはだれなの?
「え、ああ。
「
「ん?」
「え? あ、ん~ん、何でもないよ」
女の子はツインテールを揺らしながら首を振ると、
「そっか、おに~さんは
にっこりと笑って手を差し出してくる。その手をぎゅっと握り返した。
「それでおに~さんはこんなところで何をやってたの? スネークごっこ?」
「違うって……その、トイレに行ったら帰り道が分からなくなったというか……」
「あ、迷子か」
「身も蓋もないけど……」
その通りだったりする。
女の子が腰に手を当てて笑った。
「もう、いい
「え、ああ」
女の子に先導されて歩き出す。
とりあえず、
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