第二話 3-8
2
そして日曜日。
俺は……
行き先は東京スカイツリー。
目的はもちろん、『MGO』のガチャで『光翼をまとうマホちゃん』を当てるためである。
なのにどうしてわざわざこんな場所で待ち合わせをしているかというと、話は
『聖地巡礼教』。
それは読んで字のごとく、キャラに
「ごめんね、せんせー。待った?」
「お……」
そんなことを考えていると、声をかけられた。
見てみると、こっちに向かって手を振りながら小走りで改札を出てくる
当然のことながら私服姿である。
あれ、よく考えてみたら、
学校にいる時は当たり前のごとく制服だし、この間の合宿の時も学校帰りにそのままうちに来たため基本制服姿だった。あとはうちにあった部屋着を適当に選んで着ていた。
改めて見てみる。
明るい色をしたカーディガン。動きやすそうなひらひらとした花柄のワンピーススカート。かわいらしい靴。ファッションには壊滅的に詳しくないけれど、それでもそれがものすごくファッショナブルだってことは分かる。素材の抜群の良さとも相まって、もうほとんどご神体と言っていいレベルだった。後光が
周りからも「なあなあ、あの子、めちゃくちゃかわいくね?」「え、芸能人かな?」「お前声かけてこいよ」「いやあのレベルは無理だって」みたいな声が聞こえてくる。
そうなんだよな。
今さら確認することでもないかもしれないけれど、
何でこんな子が自分の隣にいるんだろう。これ何てラブコメ? あまりにも夢見心地すぎてもしかしてもうすぐ俺死ぬの? なんて思いになることが多々ある。この後トラックにでも
「どうしたの、せんせー? 郵便ポストみたいにぼーっとして」
「え? あ、いや、何でもなくて……」
「? あ、もしかして……わたしの格好、ヘン、かな……?」
「! そんなことないって!」
思わず早口で言ってしまった。
「そ、そう……かな?」
「あ、ああ、変なんてことはぜんぜんなくて、何ていうか……」
「……?」
「その……すごく似合ってると、思う……」
「ほ、ほんとっ?」
その言葉に、
その笑顔もまた
そんな俺の前で、カシャッという機械音が響いた。
「?」
見ると
「あのさ、
「ん、記録だよ?」
「!」
公判記録……!?
や、やっぱり……?
すでに逮捕・留置・起訴後も見据えられているのかと恐れおののく俺に、
「ん? 記録じゃなくて、記念? ほら、あれだよ。せっかくせんせーとお出かけできたんだし、記念に残しておこうと思って。えっと、メモリアル?」
「え……」
「だってわたし、今日のお出かけすっごく楽しみだったんだもん。楽しみで楽しみで、昨日は三時間しか寝られなかったくらい。えへへ」
後々の裁判のための記録じゃありませんでした。
というか……そこまで楽しみにしていてくれた?
俺なんかとの出かける予定を……?
や、そんなこと言われたら……ただでさえ醜悪なクリムゾンみたいに崩れた俺の顔がさらに気持ち悪くなってしまう。
浮かれかける心を隠すために、マイコプラズマ肺炎になったみたいにゴホゴホと
「──そ、それじゃあ、行こうか」
「うんっ♪」
我ながらさらにかなりキモい感じに照れた顔を
・
私服姿も常軌を逸してかわいい。
・
メモリアルを大事にしている。
・
今日のお出かけが楽しみで三時間しか眠れなかったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます