第263話 仲間外れは例外なく禁止らしい。(21/4/28改稿)

「えへへ、こんなにいっぱい出たの」

「マジ? ボクのときより多くね?」


 小さくてかわいい妹は、僕がティッシュにくるんで捨てようとした「兄妹の一線を越えてしまった証」を僕の手から奪い、嬉しそうにネネコさんに見せる。


 再び「賢者タイム」に入った僕は、もう頭を抱えるしかない。

 こんなのは、オトコとして最低だと思うし、兄としても失格だ。


 僕は、完全に性欲に負けてしまっただけの弱いオトコである。ものすごく気持ち良かった事は言うまでもないが、我に返った時の後ろめたさも半端ない。


「ポロリちゃんは、痛くなかった?」


 こんな風に、ポロリちゃんの体を気遣ってあげたところで、小さくてかわいい妹の処女を僕が奪ってしまったという事実は消えないのだから。


「うんっ、ネコちゃんの言う通り、とっても気持ち良かったの」

「ロリに喜んでもらえて良かったよ。ミッチー、ありがとね」

「あははは、それはどうも」


 僕は乾いた笑いを返すだけで精一杯だったが、それでも、この2人が喜んでくれたのは、せめてもの救いだ。


 今日はクリスマスイブと同じように、僕達にとっては特別な夜である。


 2人が喜んでくれているのだから、僕も、ポロリちゃんがオトナの階段を上った事を素直に喜ぶべきなのかもしれない。


 いや、それよりも、ポロリちゃんが初めての相手に僕を選んでくれた事に、もっと感謝すべきだろうか。


 それとも、僕達の背中を押してくれたネネコさんに感謝すべきなのだろうか。




「ふふふ……、甘井さんは両手に花ですか? とてもうらやましいですね」


 気持ちの整理がつかないまま、パンツを穿き終えたところで、風呂上がりの天ノ川さんから声を掛けられた。


「天ノ川さん! すみません、寮の風紀を乱すような事をしてしまって……」


 僕は心臓が止まりそうなくらい驚いてしまったが、この状況で言い訳をしたところで、天ノ川さんは全てお見通しだ。ここは素直に頭を下げるしかない。


「いえ、そのように仕向けたのは私のほうですし、今日はアマアマ部屋の最後の日なのですから、『風紀を乱した』という理由で責めるつもりは、全くありません」


 さすが天ノ川さん、こんな僕を許してくれるというのか。


「……ですが、室長である甘井さんが『アマアマ部屋の最も重要なルール』を守らないつもりなのでしたら、それは、とても残念な事だと思います」


「『アマアマ部屋の最も重要なルール』……ですか?」

「ふふふ……、アマアマ部屋では『仲間外れは禁止』だったはずですよ」


「――え?」


「まさかとは思うけど、ミッチーは、お姉さまだけ仲間外れには、しないよね?」

「うんっ、お兄ちゃんがミユキ先輩だけ仲間外れなんて、絶対にしないと思うの」

「もちろん、甘井さんがお嫌でしたら、私も無理にとは言いませんけど……」


 天ノ川さん! もしかして、最初から僕をハメるつもり(ダブルミーニング)だったのですか?


「嫌だなんてとんでもない! 室長の最後の仕事として、頑張ってみせます!」


 最初から3人がグルだったというのなら、僕に後ろめたさなど全くない。

 こんな機会は一生に一度しか訪れないだろうし、僕自身も望むところだ。






 ここからはエロ注意の話ですが、大人の事情で性描写は大幅削減です。

 まだ問題がある場合は、「第263話に問題あり」とご連絡ください。






「ふふふ……、私は初めてですが、イメージトレーニングは万全ですので、甘井さんは、仰向けに寝ていて下さるだけで結構ですよ」




 ――そこから先の記憶は曖昧で、夢なのか現実なのか区別がつかなかった。




 僕が見た夢は、自分が乗馬マシンになって天ノ川さんを乗せている夢だ。


 僕の脳内レコーダーには、スイカのような大きなおっぱいが上下に激しく揺れる動画が記録されており、この動画は、きっと僕が死ぬまで消去されないだろう。






 次の朝、目が覚めたらネネコさんとポロリちゃんに両側から抱き着かれていて、僕の「天狗てんぐの鼻」は、いつもと同じように元気だった。


「お兄ちゃん、おはよう!」

「おはよう、ポロリちゃん」


 ネネコさんは、ただ寝ぼけているだけのようだが、ポロリちゃんは、僕よりも先に目覚めていたらしい。


「甘井さん、おはようございます。ゆっくりと休めましたか?」

「天ノ川さん、おはようございます。お陰様で、ぐっすり眠れました」 


 天ノ川さんは、早起きしてシャワーを浴びていたようだ。


「ネーちゃん、朝だぞー!」


 ネネコさんを起こしてあげるのも、もしかしたら今日で最後かもしれない。


「……ん? なんでボクがミッチーと一緒に寝てるの?」

「あははは、昨日は最後の夜だったから、4人で一緒に寝たでしょ?」

「そっか、そう言えば、そうだったね」


「えへへ、これでポロリもオトナになれたの」

「ロリの声がチョーかわいかったし、お姉さまの声はチョーエロかったよ」

「ふふふ……そうでしたか。自分では気付かないものですね」


 3人の会話を聞く限り、昨晩の出来事は夢ではなかったようだ。


 生娘寮のお嬢様方には「抜け駆けを嫌い、横並びを望む」という習性がある事は知っていたが、まさかここまでとは思わなかった。


「じゃあ、4人で朝食に行こうか」


 この4人での朝食も、きっと、これで最後だろう。






「ミッチーとロリとは、これでお別れだけど、今までありがとね!」

「えへへ、お部屋が変わってもポロリはお兄ちゃんと一緒だから、寂しくないの」


 朝食を終え、洗濯や部屋の掃除も終わった。これで、アマアマ部屋は解散だ。


「これで、アマアマ部屋は解散ですね。甘井さんと鬼灯ほおずきさんとは別の部屋になりますけど、これからも同じ寮の仲間として、改めて、よろしくお願い致します」


「そうですね。最後の夜まで楽しませてくれて、ありがとうございました。僕は、みんなの事が大好きですし、もちろん、昨日の夜の事は一生忘れませんから」




 この日、アマアマ部屋の解散パーティーで乱交が行なわれたという記事の載った校内新聞が号外として発行されてしまったのだが、幸いなことに今日がエイプリルフールだった為、記事の内容を信じている人は誰もいなかったようだ。


 そして、今日から5年生になった僕は、2年生になっても小さくてかわいい妹と一緒に209号室へ引っ越し、栗林くりばやしさんと熊谷くまがいさんの姉妹と同居する事になる。


 209号室は「アマグリ部屋」と呼ばれるようになり、そこでポロリちゃんと熊谷さんは「ロリ熊コンビ」を組むことになるのだが、それはまた別の話だ。


「ろりくま」https://kakuyomu.jp/works/16816452220955322767



 ここまで読み進めて下さって、ありがとうございます。

 次回は「ろりねこ」の最終回です。あと1話だけ、お付き合い下さい。

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