第255話 とても居心地が良かったらしい。
茶道部の皆さんのお陰で、
カントリーデイヴは絶賛され、
この自信に満ち
さらに嬉しかった事は、寮の廊下でミハルお姉さまから褒められた事だ。
ミハルお姉さまは、僕をからかって「3倍返し」と言っただけで、お返しを期待していた訳ではなかったそうで、チョコレートのお返しに全員に手作りのクッキーを贈った事を「なかなかやるね。さすが、我が弟」と高く評価してくれた。
お姉さまが未熟な弟に試練を与えてくれた事に、僕は感謝すべきだろう。
午後6時になると、再び食堂に来て、アマアマ部屋の5人で夕食をとった。
ジャイコさんが加わり5人での夕食は、日曜日から数えて今日で7回目だ。
「お兄ちゃん、もちっと食べれる?」
食事中に、僕の正面に座るかわいい妹から声を掛けられた。
体が小さくて普段から少食なポロリちゃんは、よく僕におかずを分けてくれる。
「うん、まだまだ入るよ。食べきれない分は、全部こっちに載せちゃって」
今日は普段よりも量が多い気がするが、僕はお
「甘井さん、今日は私の分も手伝ってもらってもよろしいですか?」
「天ノ川さんも、ですか? 僕は構いませんけど、珍しいですね」
今日は、天ノ川さんからも声を掛けられ、僕は斜め前にお皿を差し出す。
もしかして「4年生太り」を気にしているのだろうか。 (第113話参照)
「ダビデ先輩、私も完食は無理みたいです。お願いしてもいいですか?」
「ジャイコさんまで? どうぞ、一緒に載せちゃって下さい」
ジャイコさんは、おかずのみならず、ご飯も多かったようだ。
「お姉さまもジャイコ先輩も『お菓子は別腹』とか言ってたのに、おかしくね?」
「申し訳ありません。それは、ネネコさんの言う通りですね。ですが、これ以上、食べてしまったら、私達は間違いなく太ってしまいます」
「お姉さまのおっしゃる通りです。ネネコちゃんは
ネネコさんは特に普段と変わらないが、他の3人は、どうやらカントリーデイヴの食べ過ぎらしい。
「でも、そんなに食べさせられたら、ミッチーのほうが太っちゃうんじゃね?」
「あははは、僕は、このくらい特に問題ないよ。ネネコさんも、多過ぎるようなら、無理して全部食べようとしなくても、いいからね」
僕は味見をする以外にカントリーデイヴをほとんど食べていなかったので、夕食の量が多少増えても、食べきれなくなる心配はない。
天ノ川さんもジャイコさんも、決して太っているという訳ではないのだが、僕が贈ったカントリーデイヴのせいで、みんなが太ってしまったら、それは問題だ。
今日は責任を持って「残飯処理係」としての任務も全うしなくては。
残飯処理を終え、満腹になったところで101号室に戻り、夕食後の座談会。
ジャイコさんが部屋にいてくれるお陰で、今日もポロリちゃんは僕の体を背もたれにできる場所に座っている。
僕のかわいい妹はとても軽いので、背もたれにされても全く苦にならないし、僕の胸やお腹に密着する、妹の背中やお尻の感触にも、すっかり慣れてしまった。
「ジャイコさんは、明日帰っちゃうんですよね。1週間どうでしたか?」
「あっ、その事なんですけど、思っていた以上に居心地が良かったので、ダビデ先輩がよろしければ、あと1週間、泊めて欲しいのですが、いかがですか?」
「僕は全然構いませんよ。――天ノ川さんはどうですか?」
「ふふふ……、私達3人は白日祭の時に話は聞いておりますので、最終判断は室長さんに、お任せ致します」
「えへへ、ポロリは賛成なの」
「ボクも賛成だよ」
「もちろん、私も賛成ですよ」
ジャイコさんは元々、天ノ川さんともポロリちゃんとも仲が良く、この部屋に来てからは、ネネコさんとも仲良くしてくれている。それに加えて部屋の掃除や洗濯までしてくれているのだから、僕に反対する理由などあるはずもない。
「それじゃ、全会一致で決まりですね」
「ありがとうございます。では、あと1週間だけ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく。僕達もジャイコさんがいてくれて、助かっています」
「アマアマ部屋の皆さんは、とても仲が良いと聞いていたので、私がいたら邪魔にならないかと少し心配だったんです。でも、実際に泊めてもらったら、303号室よりもずっと居心地が良くて、実家に帰りたくなくなっちゃいました」
仲の良い4人の中に、5人目として加わるのは、かなり大変な事だと思う。
1週間で、ここまでアマアマ部屋に
「303号室って、そんなに居心地が悪かったの? ちょっとひどくね?」
「居心地が悪かったってわけじゃないけど、お姉さまには振り回されてばっかりだったし、ハカリさんにも
「ふふふ……あの人に振り回しているという自覚は、全くなさそうですけどね」
「そうなんですよ! どっちが姉なのか、分からなくなる時もありましたから」
「えへへ。トモヨお姉ちゃんは、とっても面白いの」
「今日みたいに私がお腹いっぱいの時でも、お構いなしに私の皿に自分の食べ残しを載せて『はい、これもノルマね!』みたいな感じで」
「あははは、ジャイアン先輩らしいですね」
「ハカリさんなんて『今日もかわいいね』とか言って油断させておいて、いきなり服の上からブラのホックを外すんですよ!
「マジ? 服の上からブラを外すのって、すごくね?」
「あの遊びは生娘寮の伝統みたいなものですから。私も1年生の時は先輩方によく外されました。胸が大きい子ほど、狙われやすいみたいですよ」
「私は、ミユキお姉さまやサラちゃんほど大きくないですけど……」
ブラのホックを服の上から外す遊び?
そんな楽しそうな遊びが、生娘寮の伝統なのですか?
僕は残念ながら一度も目撃した事が無いが、ブラは服の内側だから、現場を目撃しても、そこで何が起こっているのかまでは分からないのかもしれない。
「ブラのホックって、服の上からでも外せるものなんですか?」
「意外と簡単ですから、甘井さんでも、すぐにできると思いますよ」
「意外と簡単」と言われても、僕が寮の廊下でそんな事をしたら犯罪行為である。
「マジ? ボクにも出来るかな?」
「ネネコさんが練習したいと言うのでしたら、私のブラで練習してもいいですよ」
「じゃあ、今からでもいい?」
「ふふふ……、もちろん構いませんよ」
ネネコさんは、コタツを出て、天ノ川さんの背後に回った。
この姉妹は、どうやら本気のようだ。
「お兄ちゃんも練習したかったら、ポロリのブラで練習してもいいよ」
「あははは、それは面白そうだね。じゃあ、お言葉に甘えて……よっ……と、こんな感じかな?」
「意外と簡単」という暗示のお陰か、一発で成功してしまったようだ。
「お兄ちゃん、すごーい!」
「褒めてくれるのは嬉しいけど、もっと恥じらいは、あったほうがいいかな」
「えへへ……お兄ちゃんのえっち!」
ポロリちゃんは恥ずかしそうな顔で、外れたホックを止め直している。
これがきっと、かわいい女の子の正しい反応だと思う。
「そうそう。そのほうが、ずっとかわいいと思うよ」
「えへへへへ」
ご褒美に僕が頭を
「えー! なんでブラを外されて喜んでいるの? やっぱり、仲がいいんですね」
ジャイコさんは、僕達の兄妹愛に驚いているようだ。
僕達は、ある意味、恋人以上に仲がいいので無理もないだろう。
「あっ、そう言えばボク、ブラの外し方、知らなかった。どうやって外すの?」
「ふふふ……それは、ジャイコさんに教わって下さい」
ネネコさんは普段ノーブラかスポブラなので、ブラの外し方を知らないらしい。
「えっ? 私がミユキお姉さまのブラのホックを外しちゃってもいいんですか?」
「構いませんよ。今はジャイコさんも私のかわいい妹なのですから」
という訳で、ジャイコさんがネネコさんに、お手本を示してあげる事になった。
「ネネコちゃん、よく見ていてね。両側からこうやって……こう!」
「――きゃっ!」
天ノ川さんは、服の中でこぼれ落ちそうなおっぱいを両手で押さえている。
「すげー! ホントに外れたっぽい」
「では、今度はネネコさんの番です。ジャイコさんのブラでやってみて下さい」
「えー! そんなー!」
ジャイコさんは嫌がっているようだが、自分が先に天ノ川さんのブラのホックを外してしまった以上、文句は言えない。ここは天ノ川さんのほうが一枚上手だ。
「ふふふ……ジャイコさん、アマアマ部屋は『仲間外れ禁止』ですよ!」
「あっ! ネネコちゃん、やめてっ!」
「そんなに暴れるのって、ちょっとずるくね?」
「最初からノーブラの方が、もっとずるいよ!」
「えへへ、イコ先輩、とっても楽しそうなの」
「あははは、そうだね」
みんな楽しそうだが、この状況を最も楽しんでいるのは、おそらく僕だと思う。
ジャイコさん、こんなにもアマアマ部屋に馴染んでくれて、どうもありがとう。
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