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最近はもう、関節が動かずほとんど寝たきりで、意識も頻繁に途切れるようになってきました。
わたしを心配そうに見つめにくるご主人さまを見るたびに、わたしはメイドとしての不甲斐なさを感じてしまいます。
ああ、もっと。もっとご主人さまに触れ合いたいのに。
もっと、あなたの頭をなでてあげたいのに。
それすら叶いません。
ベッドの横に腰かけたご主人さまが、やさしい声音でわたしへと尋ねます。
「ねえ、アイヴィー。アイヴィーには、何か夢はある?」
「わたしの夢は、ご主人さまにお仕えしつづけることです」
「そうじゃなくて。それ以外の夢はないの?」
「……わたしは、誰かにお仕えするためにうまれたので。それ以外、考えたことがありませんでした。でも、あえて言うなら……誰かの願いを叶えたいと思います」
「誰かの願い?」
「世界中を旅して、いろんな人に出会って、そしてその人の願いを叶えるために行動するんです。歌って、泣いて、笑って。その人を勇気づけるんです」
「……素敵な願いだね、アイヴィー」
そう言ってほほ笑むご主人様は、泣きそうな表情をしていました。
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