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今日はご主人様の一一歳の誕生日です。
ちなみにですが、ご主人様の本当の誕生日は不明なままです。そのため、わたしがご主人様を拾った日を誕生日ということにしています。
お祝いの料理を作り終えたわたしは、ご主人様を呼びに、地下の書斎へと向かいました。最近は左足の関節が動かなくなってしまったため、階段を昇り降りするだけで一苦労です。リンダさんやベンおじさんに相談しても、油でも差せばいいんじゃないか、と適当にあしらわれてしまいます。どうやら、直す方法はないようです。
書斎の床に座り、ご主人様は一心不乱に本を読んでいました。
「ご主人様、料理が準備できましたよ。温かいうちに食べましょう?」
「……アイヴィー、その前に教えて。この本に書いてある、ロケットって何?」
「その昔、人間が空の向こうにいくために開発したものですよ」
「夏って何?」
「昔は、そんな季節があったんです」
「ナノマシンって何?」
「目には見えないほどの、小さな機械ですよ。それがあればどんな病気でも治ったそうです」
「それがあれば、アイヴィーの脚も治せる?」
「……さあ、どうでしょう」
わたしはゆっくりと首をかしげました。
「じゃあ、最後に教えて、アイヴィー」
ご主人様のその無垢な瞳が、わたしをとらえました。
「ロボットと人間は、何が違うの?」
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