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ご主人様は最近、いくつかの趣味を見つけたようです。お屋敷の地下にある書斎には、旦那様が集められた本が多々あり、ご主人様はそれらをよく読んでいます。ご主人様ではまだわからない内容も多いはずなのに、感心します。
またご主人様は、歌がお好きなようです。わたしが掃除中に口ずさんでいるのを聴いてしまって以来、おやつの時間や就寝前に一緒に歌うのが日課になりました。
そして、最後にもう一つ。
ご主人様は最近、お菓子作りをはじめとした料理に興味が出てきたようです。わたしと一緒に台所に並びながら、料理をする日々が続いています。
「アイヴィーは、すきなもの、ないの?」
ある日、そんなことを聞かれました。
「好きなものですか?」
「そう。すきなもの。アイヴィーはなんのお菓子がすき?」
わたしは苦笑いを浮かべました。実はわたしは、何かを食べておいしいと感じたことがないのです。でも、あえて言うのであれば。
「プリン、ですかね」
「プリン?」
「そうです。ぷるんぷるんしてる、面白いデザートなんですよ。旦那様が好きだったんです。今度、ご主人様にもお作りしますね」
後日談ですが、ご主人様はプリンを大層気に入られたようです。
ゼラチンがないため、本当は、別の食材を使ったプリンらしきものなんですが。気に入っていただけて良かったです。
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