3
「それにしても、この街の自警団は使わないの?ロムが訓練してるんだから、相当強いでしょ?野盗も任せてしまえばよかったんじゃない?」
この街は難儀な場所あるため、自警団は自然と組織された。その自警団のトップをロムが務めている。
「流石に街を守る役目の自警団で、野盗の討伐に行かせるのは問題があります。」
「そう?黒きモノの話が本当だったら、街の自警団では流石に手に余る・・・が、本音でしょ。」
レイナの言葉に、ロムはにこりと笑みを返した。
「レイナには、隠せませんよね。そうです。黒きモノと、この街の住民を戦わせるわけにはいきません。」
「ロムの立場ならそうよね。」
一応、この街の上位責任者であるロムの言葉に納得するレイナ。
「でも、腕利きの冒険者となれば、報酬次第でやって来てくれます。あなた方のように。」
レイナに優しい視線を向けるロム。
「私は報酬につられたわけじゃ・・・それに、この依頼、確かに厄介なんだけど、報酬ちょっと多くない?」
レイナは、提示されていた報酬額と、ロムの話を鑑みて問いかける。その問いかけに、ロムはきょとんとした表情を見せる。
「そうですか?パーティーの方々と山分けしても十分な様にと準備していたんですが。」
「パーティー?」
予想外のロムの言葉に、思わず聞き返すレイナ。
「あれ?依頼内容には必ずパーティーでって書いていたんですよ。仲間の方が来るんじゃないんですか?」
不思議そうな顔をするロム、対照的に驚いた顔をしているレイナ。
「依頼を受けた時、そんな事一言も聞いてないわ・・・。」
「でも、レイナなら一人で十分ですね。」
「十分だけど・・・。」
腑に落ちない感じで、レイナは口ごもる。
確かに、パーティー分の報酬を一人で受け取れるのは魅力だが、パーティーと指定している以上、何かしらの懸念事項があると言う事だ。
「ちょっと、ギルドにクレーム入れないとね。」
不満を隠しきれないレイナを見て、ロムが申し訳なさそうな顔をする。
「すみません、厄介な依頼で。」
「ロムが謝ることはないわ、後できっちり話付けるから。」
「私からも、ギルドに言っておきますね。」
「依頼者と受注者のダブルクレームかぁ・・・。」
レイナのその言葉に、ロムは思わず笑ってしまう。それを見て、レイナも少し落ち着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます