2
街の中心部を通る道を進むレイナ。目的の教会は、この街の中心部から少し外れた所にある。
「ここは、変わらないわね。」
レイナは、久しぶりに来た教会の前で呟いた。
教会は、レンガ造りで、礼拝堂と住居が一体化している造りになっている。
それほど大きい物ではないが、この街が出来た時からあるそうだ。
レイナは、その教会のドアを開け、中に入る。
「来たわよ。」
ドアを開けると、そこは礼拝堂になっていた。その礼拝堂に向かって、レイナは声をかける。
「あら、今朝ギルドから連絡がありましたが、早く着きましたね。ようこそ、レイナ。」
そう言って、教会のシスターが出迎える。
「久しぶり、ロム。変わりはないみたいね。」
「レイナも、変わりないようですね。」
レイナは、シスターのロムに近寄り、握手を交わす。旧知の仲といった感じだ。
「それにしても、また厄介事なのね。」
「ええ、ですから、ギルドにお願いしたんですよ。」
ロムはレイナに微笑みを返しながら答える。
「あなたってギルドを使いこなしてるわよね。」
「ふふっ、そうですね。使えるものは使っていかないと、向こうでは生きていけませんでしたから。」
「まぁ、こちらとしてもこの周辺の治安維持と情報提供は助かってるから、お互い様ね。」
ロムの意味深な言葉を聞き流し、話をつづけたレイナ。
「そうですね。それでは、こちらへどうぞ。」
ロムはにこりと微笑みを浮かべ、レイナを礼拝堂の隣にある客間に案内する。
客間には、応接用の机と椅子が並べてある。ロムはそこの椅子に座るようレイナに促し、レイナもそれに従った。
「で、早速依頼の件だけど。」
「はい、この地図を見てください。」
ロムが机に地図を広げる。その地図は、この町の周辺が書かれていて、いくつかの印がついていた。
「印をつけた場所が、ここ1か月で住人が野盗に襲われた場所です。」
地図の印をなぞるレイナ。
「結構多いわね、襲われた場所も範囲が広い。」
静かに頷くロム。
「そして、襲われた人の話だと、野盗は黒きモノを従えて襲ってきたと言っています。」
「黒きモノを?」
「見間違いだと思いたいのですが、複数の人が証言している以上、注意するべきでしょう。」
ロムの言葉に、レイナは訝しげに質問を投げかける。
「黒きモノを従えるって、出来るのかしら?」
「何かしらの道具を使って、操ってる可能性もありますね。」
「道具・・・ねぇ。」
レイナは相手を操る道具について考えたが、黒きモノを操る事はできないと自分の中で結論付ける。
「とにかく、野盗を倒せばいい。で、黒きモノの話は注意しておく。これでいいのね。」
「はい。レイナなら余裕でしょう。」
不敵な笑みをレイナに向けるロム。
「まぁね。」
そう言って、レイナもロムに笑みを返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます