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街の中心部を通る道を進むレイナ。目的の教会は、この街の中心部から少し外れた所にある。

「ここは、変わらないわね。」

レイナは、久しぶりに来た教会の前で呟いた。

教会は、レンガ造りで、礼拝堂と住居が一体化している造りになっている。

それほど大きい物ではないが、この街が出来た時からあるそうだ。

レイナは、その教会のドアを開け、中に入る。

「来たわよ。」

ドアを開けると、そこは礼拝堂になっていた。その礼拝堂に向かって、レイナは声をかける。

「あら、今朝ギルドから連絡がありましたが、早く着きましたね。ようこそ、レイナ。」

そう言って、教会のシスターが出迎える。

「久しぶり、ロム。変わりはないみたいね。」

「レイナも、変わりないようですね。」

レイナは、シスターのロムに近寄り、握手を交わす。旧知の仲といった感じだ。

「それにしても、また厄介事なのね。」

「ええ、ですから、ギルドにお願いしたんですよ。」

ロムはレイナに微笑みを返しながら答える。

「あなたってギルドを使いこなしてるわよね。」

「ふふっ、そうですね。使えるものは使っていかないと、向こうでは生きていけませんでしたから。」

「まぁ、こちらとしてもこの周辺の治安維持と情報提供は助かってるから、お互い様ね。」

ロムの意味深な言葉を聞き流し、話をつづけたレイナ。

「そうですね。それでは、こちらへどうぞ。」

ロムはにこりと微笑みを浮かべ、レイナを礼拝堂の隣にある客間に案内する。


客間には、応接用の机と椅子が並べてある。ロムはそこの椅子に座るようレイナに促し、レイナもそれに従った。

「で、早速依頼の件だけど。」

「はい、この地図を見てください。」

ロムが机に地図を広げる。その地図は、この町の周辺が書かれていて、いくつかの印がついていた。

「印をつけた場所が、ここ1か月で住人が野盗に襲われた場所です。」

地図の印をなぞるレイナ。

「結構多いわね、襲われた場所も範囲が広い。」

静かに頷くロム。

「そして、襲われた人の話だと、野盗は黒きモノを従えて襲ってきたと言っています。」

「黒きモノを?」

「見間違いだと思いたいのですが、複数の人が証言している以上、注意するべきでしょう。」

ロムの言葉に、レイナは訝しげに質問を投げかける。

「黒きモノを従えるって、出来るのかしら?」

「何かしらの道具を使って、操ってる可能性もありますね。」

「道具・・・ねぇ。」

レイナは相手を操る道具について考えたが、黒きモノを操る事はできないと自分の中で結論付ける。

「とにかく、野盗を倒せばいい。で、黒きモノの話は注意しておく。これでいいのね。」

「はい。レイナなら余裕でしょう。」

不敵な笑みをレイナに向けるロム。

「まぁね。」

そう言って、レイナもロムに笑みを返した。

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