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村の宿屋に着いたレイナ、食事と入浴も済ませ、部屋で一息つく。

「ふぅぅぅ・・・。今回も無事完了。最近は張り合いがない依頼が多いのは、世界が平和な証拠ね。」

大きく伸びをするレイナ。

「でも、少し物足りないかな。」

左手の人差し指につけた指輪を右手の人差し指でそっと触れる。その瞬間、少し指輪が淡く光った。

「ちょっと、聞こえる?」

指輪に向けて問いかけるレイナ。

「はい、こちら冒険者ギルドのアンナです。何ですか?レイナさん。」

指輪が応える。冒険者ギルドの受付に繋がったようだ。

「あれ?アンナ、昼間も私と話してなかった?まだ仕事してたの?」

「ええ、交代の子がちょっと来られなくなってしまって。」

指輪から聞こえる声は、昼間とは違って、少しトーンが低い。ちょっと疲れが出ているようだ。

「そうなんだ。お疲れ様。」

「ありがとうございます。で、一体どうされました?」

「そうそう。この周辺で何か私にできそうな依頼ある?」

「まだ依頼を受けてくれるんですか?」

先ほどまでの疲れた声と打って変わって、嬉しそうな声が指輪から聞こえる。

「ええ、最近ギルドの依頼受けて無かったからね。ちょっと手応えのある依頼でもいいわよ。」

「そう言ってくれるとギルドとしては助かります。でも、今レイナさんのいるエリアでは無いですね。」

「やっぱり、この辺りは平和だものね。」

想像していた通りだったのか、レイナは少し残念そうに応える。

「そこから少し離れたところになら、ちょっと手ごわい依頼があります。でも、レイナさんならすぐに行ける場所ですよ。」

「え?それって、どんな依頼?」

「野盗討伐、場所は鉱山と森の街です。依頼者は教会のシスターですね。」

「確かに、直ぐに行ける場所ね。おまけに顔見知り。」

依頼の内容を聞いて、思わず笑みがこぼれるレイナ。

「何度も行っていただいてる場所ですから、依頼内容以外は問題ないですね。」

指輪から聞こえる声は、レイナを信頼しきっている感じが伝わってくる。

「依頼内容は野盗討伐、詳細は現地で確認って事ね。」

「はい、現地の依頼者に確認してください。」

依頼内容をメモしているレイナ、そこでふとした疑問が浮かぶ。

「それにしても、この依頼内容と報酬だと、すぐに無くなるタイプの依頼だと思うんだけど。」

野盗討伐は、冒険者ギルドに依頼される内容でもメジャーで、かつ早く解決してもらいたいため報酬も高くなる傾向にある。

「多分、場所が問題だと思います。強力なモンスターがうろついている場所ですし、並の冒険者は安全を取って受けないんでしょう。」

冒険者は体が資本だ、身の丈に合わない依頼を受けるのは怪我の元になる。

「まあいいわ、じゃあこの依頼は任せといて。」

「それでは、お願いしますね。」

その会話後、ギルドとの通信は切れた。

「じゃあ、出発は明日ね。」

そう言ってレイナはベッドに潜り込み、寝息を立て始めた。

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