シガレット



燻る煙の中に埋もれていたい

吐き気がするほどの濃い煙

それが好き あなたのにおいだから

シーツの上の幸せをそこで

噛み締めていたい 永遠でもいい


棉の抜けた汚らしいベッドで構わないの

泥沼だって あなたがいるなら愛の巣と呼ぼう


どろどろに溶け合って混ざり合って

皮膚を擦り寄せれば

あなたと私は二人じゃなくなる

ひとつ ひとつになるの

邪魔っけな殻は脱ぎ捨てて

ひとつ ひとつになるの



次生まれることがあるのなら

汚れた今の全てを捨てられるのなら

私ね ずっと思ってることがある

誰にも言えない 内緒のこと

あなたに生まれたい 世迷いごとかしら


運命なんて信じない 出会い直すのも面倒

探すなんて途方も無いわ

見つける前にあなたが他を見つけてしまうかも


なら


ゆらゆらと漂って染み込んで

そっとあなたを包み込む

小難しいことは全部抜きにして

ひとつ ひとつになるの

愛も理由も言葉もいらない

ひとつ ひとつになるの




私があなたのため着飾るにも

私があなたと身を寄せ合うにも

私とあなたが愛を囁くにも

端金はしたがねが要る こんな世の中


煙だけが優しく包んでいた



どろどろに溶け合って混ざり合って

皮膚を擦り寄せれば

あなたと私は二人じゃなくなる

ひとつ ひとつになるの

邪魔っけな殻は脱ぎ捨てて

ひとつ ひとつになるの


私の甘い煙とあなたの強い煙が

部屋に溢れてるわ

あなたと私がそうするように

ひとつ ひとつになるの

立ちのぼって 揺らいで 繋がって

ひとつ ひとつになるの

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