第6話 手紙
始業式が終わり今日から通常通り授業が行われるため、俺は日向と共に学校に向かう電車に揺られていた。
ちなみに今年から俺と同じ明朗高校に通うことになった日向に今日は初日だから早めに学校に行っておきたいと言われ、いつもより30分ほど早めに家を出ている。
「ふあぁ・・・」
心機一転、今日からまた頑張ろうと思う俺とは対照的に隣に座る日向はやけに眠そうだ。
すると日向はそんな俺の視線に気付いたようでジトっとした目で何?と訴えかけてくる。
はあ…どうせあれなんだろうなあ…
「お前昨日何時までやってたんだ」
「分かんない。ただ気付いたら・・・日が昇ってたの…」
「アホかお前」
「しょうがないじゃん!だってあれ神ゲーだったんだもん!あの一見おとなしそうな高柳君が勇気を出して小池先輩に告白した後そのまま流れで亀甲縛りするシーンとか号泣モノなんだよ!?」
いや告白した流れで亀甲縛りってなんだよ…
もうそれ過激ってレベルじゃねえぞ…
しかもそれで号泣しちゃうってお兄ちゃんは君の感性がすごく心配です。
俺の妹がこんなに残念なわけがない。
そう、あの後ホモゲーを買い家に戻った俺は部屋にこもっていた妹のもとに行った。
すると最初は別れ際の不機嫌さを露骨に態度に出していた日向だったが、買ってきた手ゲイ部をを差し出すとなんとか機嫌を直してくれたようであ、ありがと…と、気恥ずかしかったのか控えめなお礼をくれ、何とか仲直り。
本当に現金な奴だよ。
でも仲直り出来て本当に良かった。
一緒にプレイする?と聞かれた時はさすがに断ったけどな。
日向は一瞬残念そうな顔をしたが、そんなことよりも早くゲームをプレイしたかったのか、分かったというとそのまま部屋にこもってしまった。
その結果がこの有様らしい。
「お前今日が学校初日なのに大丈夫なのか?」
そう聞く俺に日向はない胸を張って答える。
「日向はこう見えて外面は完璧なんだからね?お兄ちゃんと違って友達もすぐ作っちゃうんだから!」
「お兄ちゃんも友達くらいすぐできたよ?それに俺は光もいたし」
「光さんはお兄ちゃんの彼氏じゃん?」
ハイハイソウデスネ…ソウイウコトデイーデスヨ…
そんな事は断じて、決して、絶対にありえないのだがこの子も光と同じくビョーキなのだ。
ここで否定してまた日向にヒートアップされても困るのでスルーする。
すると電車が学校の最寄り駅に着くアナウンスが流れた。
「はいはい、っとそろそろ着くな。じゃあ頑張ってこいよ」
「うん!じゃあまたねお兄ちゃん!」
そう言って日向と別れた後俺は新しい教室に向かった。
教室に向かう途中朝練をしているのだろうか、野球部の声が校内にまで響き渡っておりその声を聴きながらしばらく人気のない廊下を歩く。
そして教室に着きそのままドアを開け放つと家をいつもより早く出たのもあってそこにはまだ誰もいなかった。
まあ新学期初日だしな。たまには一番乗りも悪くないか。
俺は自分の席を教室の前に貼ってある席順表で確認し、そのまま席に向かい着席する。
そして教科書を鞄から出し、そのまま新しい机の中に突っ込もうとすると
―――クシャっと紙が潰れるような音がした。
ん?なんか机の中に入ってんのか?
一旦教科書を机の上に置き中に入っていたそれを引き出すとそれは便箋だった。
それもいわゆるドラマとかで見るラブレターのようなものだ。
え、俺に?はは、まさかな…
中に入っているのは…これ手紙か?
外には何も書いてないのでもし他の人に宛てたものであったら失礼かとは思ったが俺は中を拝見することにする。
そしてその便箋の中に入っていたのは短い文章が可愛い文字で綴られている手紙と一枚の写真だった。そのまま手紙の方から俺は目を通す。
えっとなになに…屋上にて待つ…?
いや、果たし状かよ。
なんだこいつ…何様なんだ、偉そうにしやがって。こんな言い方で誰が行くかってんだ。人を呼びつけるにしてももっとあるだろ、無視だ無視、めんどくさい。
んで写真の方はっと……あれ?これうちの制服じゃないか。
なんだこれ?
それは一目で分かる程異様な写真だった。
うちの制服を着た特段特徴のない見た目をした男子生徒が、どっかで見たような異世界のような店内で、どっかで見たようながホモゲーを持ってニヤついていて…
ハハ、なんだこのへんた―――
―――って!!!これ俺ぇぇぇぇぇええええ!?!?
な、なんでこの写真がこんな所に!?
一体誰がこんな仕業を…
いや!そんなことよりもこんな写真が他の奴に見られたら俺はBLゲー好きのムッツリホモ野郎の烙印を押されて社会的に抹殺されてしまう!!!
証拠の隠滅の方が先だ!
屋上か……!急がないと…!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます