迷宮都市

第0話執事の態度

 移動期間中は特に問題なく過ごした。

挑戦権は脳内将棋をやって俺が勝ったのと、脳内チェスで俺が勝った。

魔法について書かれていた本も全部読んだし、気になったこともだいたい全部執事さんに聞くと答えてくれた。

 だから、この二日間はとても充実した時間を過ごすことができた。


「マサハル様、ユエ様。領主館に付きました」

「そう。ありがとう」

「ありがとうございました」

「いえ、当たり前のことをしただけですから。…これから、迷宮都市の領主様と会うことになりますがよろしいですか?」

「はい。問題ないです」

「よろしくお願いします」

「では、ついてきてください」


 そう言うと、執事さんは領主館へ歩き始めた。騎士の方々はその場にいたし、動くつもりもなさそうだった。


 それにしても…、移動中も思ってたけど、執事さんの根性図太いよな。移動中に優恵がいくら変な事をを言っても顔色一つ変えなかったし、今も何も気にせずに領主館へ向かっている。


「お兄様?」

「あ、今行くよ」


 てか、執事さんは待つ気は無いのね。もう、扉の前まで行って領主館にいる執事と何か話している。

 あ、話し終わったっぽいな。


「マサハル様、ユエ様。領主がお待ちですのでこちらの執事についていってください。私の勤めはここまでです。今日まで有難うございました。また、騎士に関しては貴方様方の許可があるまでは、変えることはありませんので」

「あ、うん。騎士も帰ってもらえるかな?『今日までありがとう。お疲れ様』って伝えといて」

「…かしこまりました。そう、伝えておきます」


…。なんか雰囲気が変わった?


「それでは、勇者様方。領主様がお待ちですので、案内いたします」

「あ、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「(なあ優恵。執事さんの態度、凄い変わってなかったか?)」

「道中も偶にあのような雰囲気にはなっていましたよ?」

「え?気づけなかった…」

「こちらになります。私の案内はここまでとなります」

「あ、ありがとうございます。入っていいんでしょうか?」

「ええ。どうぞ」


…じゃあ、入りますか。この、観音開きで、取っ手の部分が龍の口に咥えられた丸いやつ。いかにも、豪華そうな作りをしているな…

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