第12話迷宮都市へ
精霊武具を使うわけにもいかないため、
俺と妹で無手の組手を一時間ほどやっていると王様が来た。
「取り敢えず、準備は終わったぞ。まあ、大体は向こうの領主に丸投げすることになるが、問題はないだろう」
「そうですか。ありがとうございます」
「今すぐにでも行けるのでしょうか?」
「ああ。勇者であるという、証明の書類と、なるべく君等の意思を尊重して欲しいという書類は書かせてもらったが、それだけだ」
「そうですか。ありがとうございます」
「王様。そう言えば、王城には思ったよりも貴族などが少なかったような気がしますが、何故でしょう?」
「そうだな。貴族を王城に入れてしまうと、勇者を自分の手駒にしようと動く者が発生するから、貴族は緊急時以外は基本的には王城には入らないでもらうことにしたのだ」
「迷宮都市ではそういったものたちは現れないのでしょうか?」
「現れるだろうが、自分たちで対処してくれ。君等なら出来るだろう?」
「はい。分かりました」
王城に人を入れないようにしても国は回るのか?回らないような気がするんだが…。
「それと、案内人を一人、騎士を6人付けよう。君等には必要ないかもしれないが、体面的な問題がある。許して欲しい」
「分かりました。わざわざありがとうございます」
「ああ。じゃあ、移動しようか。馬車のあるところまで案内しよう」
「お願いします」
そう言うと、王様は移動を始めた為、俺と妹も移動を開始した。
迷宮都市か…そう言えば、行くのにどのくらいの時間がかかるんだ?
「王様、迷宮都市にはどのくらいで着くんですか?」
「2日程かかる。それと、あの見えてきた馬車が君達が乗る馬車だ。妹の方が何か言うかと思ったから、一応案内人は執事にしておいたぞ」
王様が示した方向を見ると、とても凄そうな馬車があり、その周囲には馬に乗った騎士が6名、執事らしき人が一人いた。
「色々と凄いのですが?」
「それはそうだろう。王家御用達の馬車だからな。勿論馬の品質も最高峰だ」
「…ありがとうございます」
「問題無い。我に使う予定は無い上に、最近は一切使っていなかった。偶には走らないと、馬も駄目になるだろう」
「そ、そうですね」
「もう乗って良いぞ?乗ったらすぐにでも出発するだろう」
王様がそう言うと、執事らしき人が馬車のドアを開けた。
「そんなに適当に送り出していいんですか?」
「言っただろう?我は自由を重んじる」
「そういや、そうでしたね。ありがとうございます」
「ああ、問題無い。何もなければ次会うのは一ヶ月後だ。その時になったらまた連絡をするが、それまでは自由にしてくれていい。それと、その装備は君等のものだ。自由に使ってくれて構わない。他にも何個か、冒険者になるのだったら必要そうなものはこちらで用意しておいたから気にせず行ってくれてかまわないぞ」
「本当にいろいろとありがとうございます」
「召喚したのだから当たり前のことだ。気にするな」
「はい」
もう此処を離れるのか…。…あまり問題と言った問題は無いな。遥斗のは…まあ、元からそんなものは無かったんだって思えば何も問題ない。…でも、遥斗は大丈夫な気がしたんだけどな…。やっぱり駄目なのかな?化物って言われてもあまり実感わかないけど、化物とか言われるような人は駄目なのかな。
「お兄様?」
「あ、うん。乗るよ」
妹が馬車の目の前で不思議そうに此方を見てきてたのに、気付かなかった。いつもだったらすぐに気づくのに、今回は気づけなかった。
「まじで?」
「どうしたんですかお兄様?」
「い、いやなんで優恵は平然としてられるの?」
本当になんで優恵は平然としてられるんだ?
馬車の見た目の大きさと、中の大きさが全然違う上に、椅子も机もあればベッドもある。
いや、本当になんで優恵は平然としてられるんだ?
「凄いとは思いましたが、それだけですよ?」
「そ、そうか」
「初めまして。私が勇者様達の案内を勤めさせていただきます。何か聞きたいことやなさりたいことなど有りましたらお申し付けください」
「分かりました。よろしくお願いします」
「早速で悪いのですが、法律について書かれた物をください」
「こちらになります」
「ありがとうございます」
…妹がお願いするのも早いけれども、執事さんが用意するのも早すぎるだろ。今どこから出したのかわからなかったぞ?
「執事さん…今どこから出したの?」
「こちらのマジックポーチからでございます。また、このマジックリングに必要な物は全て入っておりますので、此方を受け取っていただけますか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「そのマジックリングには、アイテムボックスと時間停滞の精霊術がかけられておりますので、様々なものが入ります。また、念じることにより入っているものを確認することも出来ます」
「そうなんですか」
「はい。また、この世界に対する質問などがございましたら、ご質問ください」
「それなら………
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