第9話危険につき使用厳禁

「マサハルはなんで人間でいたいの?」


 なんで人間でいたいか…。やっぱり今までがずっと人間だったからっていうのと、妹と別にはなりたくないっていうのと、あと、あとは…


「あれ?理由無い…」

「じゃあ、続きをする?」

「い、い「何の続きをするんですか?」そ、…」

「?魂の強化だよ?」

「…そうですか。なら問題ないです」

「マサハル?この人も問題ないって言ってるから人間やめよ?」

「?何を言ってるんですか?何故人間をやめるんですか?」

「多分あと少しでマサハルは人間をやめれる」

「本当なんですかお兄様?」

「あ、ああこの子はそう言ってる」

「駄目ですよ。分かってますよね?」

「なんで?強くなれるのに…」

「駄目に決まってるじゃないですか。お兄様は私と一緒の人間なんです」

「?貴方も一緒に人間じゃなく出来るよ?」

「え?」

「マサハルとずっと一緒にいたいなら、人間じゃなくなったほうが長くいられるよ?」

「……」

「なんで考えてんの!?俺は人間でいたいの!いい?」

「はい…」

「そう…」

「そういや、優恵が来るの気づかなかったんだけどなんで?」

「私も能力を強化してもらいましたので、それの影響だと思います」

「そうなんだ。そういえば、まだ身体能力が上がったのを試してないな。試してみるか」

「私がお相手いたしましょうか?」

「いや、大丈夫。軽くすぶ…なあ優恵」

「なんですか?」

「俺の武器ってどこ?」

「それなら私が消したよ?」

「なんで!?」

「私を使えばいいから」


ふむ?相当やばいな…ちょっと何を言っているのか理解できない。


「何を言っているんですか!?」

「なにかおかしい?」

「おかしいです!」

「なんで?」

「何故貴方を使うんですか!?」

「私が武器だから」


ん?武器と…武具精霊ってこと?神様の紙にそんなこと一切書いて無かったけど…


「どういうことですか?」

「こういうこと」

「へぇ」

「お兄様!?」


さっきまで精霊がいた場所に浮いた武器が現れた。

取り敢えず武具精霊だということはわかった。ただ、刀身が見えないのはなんでだろうな?

向こう側が見えるわけではなく、ただ単に見ることが出来ない。完全に黒だ。

あっ


「わかった?」

「一応わかり「なあ、なんで刀身が見えなかったんだ?」…お兄様?」

「私の能力は全てを消す。だから、見ることは出来ない」

「へぇ。それって戦いにならなくない?」

「そう。でもマサハルは強いほうがいいと言った」

「いや、言ったけどそれじゃあ戦いを楽しめないじゃん」

「…ごめんなさい。でも私はこの力の抑え方を知らないから…」

「じゃあ抑え方を覚えないといけないのか…」

「素振りぐらいだったら問題ないと思うからしてみて?」

「おにい「わかった」…」

「じゃあどうぞ」


取り敢えず柄を握って。上から下に振る。重さどころか空気抵抗すら、振っている感覚すらない。それに…!?


「お兄様これは…」

「ちょっと想定外…」

「おい!何をしたマサハル!」

「すみません!これは想定外です!」


 いや、逆に想定していたら怖いだろ…。

なんで剣を振っただけで地面が5mぐらい削れるんだよ…


「マサハル。何をしたか詳しく説明しろ」

「これを振りました」

「…それはあの精霊か?」

「そうです」

「そうか…因みに何が分かった?」

「やばいことぐらいしか分かりませんでした」

「名前や属性、今までどこにいたのかは?」

「名前…聞いてないです。属性はわからないそうで、今までは…」


あれって絶対に言っちゃ駄目な類なものだよな…


「今までは?」

「分かりません」

「そうか…まあ、名前ぐらい聞いたら良かったんじゃないのか?」

「忘れてました」

「そ、そうか…」


普通に名前とかそんなものを気にしている余裕は無かったしな…


「私に名前はないよ」

「うわっ!?いや、急に変わらないで…本当に驚くから」

「?ごめんなさい」

「だ。大丈夫だよ。今後気をつけて」

「分かった」

「…君がこれをやったのか?」

「?そうだよ?」

「そうか…直すことは出来るのか?」

「出来ないよ?私に出来るのは消すことだけ。それ以外は出来ない」

「…じゃあ、これは此方で直しておこう」

「よろしくお願いします」

「それと、制御できるようになるまでやらないでくれ」

「はい」

「じゃあ君等の同級生たちと集まってくれないか?これからのことを説明するつもりだから」

「分かりました」

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