第8話これで人間じゃ…
王様が走って此方に向かってきた。それ以外は何故か近寄ってこようとしないが…まあ、変なのが3人?も出現したんだからしょうがないと思うけど。しかも俺殺されかけたし。
「マサハル。こちらの方達は精霊…であっているか?」
「マサハル?」
「ああ。俺の名前だよ」
「そう…。じゃあ、マサハル。これは消していいの?」
なんでこの精霊はこんなに過激なの!?表情が一切変わらないし、見た目が白黒の漫画の美少女みたいな感じだから冗談に聞こえないよ!冗談だよな?王様の顔が凄いことになってるよ?
「じょ、冗談だから大丈夫ですよ王様!」
「そ、そうだよな」
「なんで冗談を言うの?」
「……マサハル?」
「…消しちゃ駄目だ」
「なんで?」
「敵じゃないから…」
「分かった。敵だったらいいのね」
「え?それ「そういえば!お兄様から離れてください!」だ…。言わせて?」
「ん?私?」
「はい!」
「ん?」
「ええ」
「分かった」
『ん?』って言いながら指をさすのはどうかと思うのですが。それと、言わせて?今のままだと敵だと本当に消しそうな気がする。出来るかは知らんけど。
「それで、お兄様?」
「はい。何でしょう?」
なにか悪いことしたか?あの怖い状態の妹になっている。笑顔なのに笑ってない状態。
「いつ精霊と契約をしたんですか?」
「わからないです」
「?いつですか?」
「わからないんです」
「どういうことですか?」
「妹の方。わからないということも有りうるぞ。稀に生まれた時から精霊と契約をしているものがいる」
「そうなんですか。じゃあ仕方ないですね。それと、この二人は精霊なんでしょうか?」
「ああ、君の剣が消えてその二人が現れたから間違いないと思うぞ。どの程度の強さかはまだ分からんが、最低でも上級はある上に、武具精霊だ。相当の強さだぞ。我は先程マサハルに撃っていた精霊術が知りたい。教えてくれないか?」
「しゃべっていいのー?」「いいのー?」
「ええ、いいですよ」
「やったー!」「わーい!」
「えっとね、えっとね、私は『月』の精霊だよ!お姉ちゃんなの!」
「私は『陽』の精霊!妹だよー!」
「そうなんですか。姉妹なんですね」
「そうなの!」「そうだよー!」
「さっきの精霊術はなんだ?」
「せいれいじゅつ?よくわかんないけどさっきのは『月光』だよー?」
「陽光』だよー?」
「そ、そうか。ありがとう」
「どーいたしまして!」「どういたしましてー!」
「そうだー!かみのながいひとついてきて!」「んー?ついてきてー?」
「いいですけど、どこに行くんですか?」
「ちょっとむこー!」「なにするのー?」
連れてかれたし。なんかこうしてみると妹が精霊をあやしているようにしか見えない。
「ところで王様。精霊の属性はいくつあるんですか?」
「そうだな、基本属性の火・水・土・風・光・闇に、希少属性の雷・氷・金属・樹・聖・治療・邪・暗黒。上位属性に空間・重力・時間・生命がある。それ以外だと、影・知・死・血等があると言われているが、我は見たことがない」
邪とか、死とか絶対に会いたくないな。
「因みに『月』と『陽』は?」
「初めて聞いた。贈ってきた者には一度話を聞かなくてはいけないな」
「まじですか。因みに精霊に名前はあるんですか?」
「ない。稀にある者もいるらしいが、そもそも伝えることが出来ないからな」
「伝えることが出来ない?」
「ああ。上級以上にならないと会話すらできない。上級でも会話ができるものは少ないから、人型となると王級である可能性すらある」
「要するに?」
「あの方達は王級である可能性もある」
「ふむ?」
「因みに。王級と契約ができたら、元が奴隷身分でない限り王族とでも結婚できると思うぞ」
「ん?奴隷?」
「あ、ああ。犯罪を犯したものは犯罪奴隷。借金でなったものは借金奴隷。それ以外のものになると一般奴隷だ。流石に奴隷では王族との結婚は無理だな」
やっぱりこの世界にも奴隷っているんだな。『奴隷がいるとか悪だ』とか言う奴がいないといいけど…。それよりも、俺としては、
「違法奴隷などはいないんですか?」
「それはいないはずだ。昔に召喚されたと言われている勇者が考案した、監視体制がしっかりしている筈だからな」
「どんな監視体制ですか?」
「まず、法律を作る。そして、法律を違反した者を報告した者は国からの報奨。規模が大きかった場合爵位を与える場合もある。という規則も作った」
「爵位がもらえるのですか?」
「ああ。ただ、この法律を作った後に一度も犯罪と言った犯罪が起きていないから、今まで一度もないがな」
「すごいんですね」
「ああ。勇者が勇者と呼ばれる理由の一つでもあるからな」
「それで、(あそこでボーッとしてる俺の契約精霊は何なんでしょう?)」
「(我に聞くのか?)」
「(それもそうだですね。じゃあ直接聞いてきます)」
「(が、頑張ってくれ)」
聞くとは言ったんだけど、聞きたくないんだよな。絶対に厄介事抱えてるから。逆にこれで厄介事を抱えてなかったら驚きだよ?
「なあ」
「どうしたの?」
「お前って何の精霊?」
「私?」
「ああ」
「分からない」
「じゃあ何が出来るんだ?」
「私は何でも消すことが出来る。何もかも消してしまいたい」
「へ、へぇ。なんでそう思うんだ?」
「何もかも駄目だから」
……。相当やばい気がする。何もかも駄目って何事?何があったらこうなるんですかね?さっきまでは神様に感謝の気持ちしか無かったけど、今は感謝の気持ちもなくなってきてる。これ絶対に厄介事を押し付けられただけだ。
そういえば、
「神様とは会った?」
「会ったわ」
「いつ?」
「契約?をすることになった時」
やっぱ会ってるんだよな。なんで神様はこんなにやばい精霊を解き放とうと思ったんだろう?
…そういえば、契約をしたら身体能力とかが上がるって言ってたけど、全然そんな事はない。
「契約をしたら身体能力が上がるらしいけど、俺はそんなことないからまだ契約はできていないんじゃないか?」
「あげたいの?」
「え?うん。強い方がいいに決まってるだろ?」
「そう…。じゃあ手を出して」
「え?はい」
手を取って魔法陣を書き出した。いや、魔法陣みたいな何かを書き出した。
魔法陣じゃないとわかった理由は、魔力が使われていないからだ。注意して見れば魔力が使われているかどうか分かる。
「何をやってるんだ?」
「魂の強化をしているの」
「なんで?」
「強くなりたいのなら魂を強化すればいいの。だからそれをやってるの」
「へ、へぇ。ち、因みにどうやって強化をしてるんだ?」
「私の力を貴方の魂に固定をしているの」
「へ、へぇ。そんなことが出来るんだ…」
「ええ。あとちょっとで人間じゃなくなれるわ」
「ん?」
「あと、一回か二回固定をすれば…」
「ちょ、ちょっと待ておい!」
「何故振り払うの?」
いや、まあね?人間じゃなくなるなんて言われたら、誰でも手を振り払うとおもいますよ?魂は転生をしたことがあるから信じられるけど、ちょっとまだ人間早めたくないかなー。
「まだ人間でいたいんだよ!」
「?そう…。じゃあ、また今度、人間でいるつもりがなくなった時に続きをやるわ」
「いや、そういう意味じゃなくて…」
「?…何時でも止めたくなったら言って。すぐに取り掛かるから」
「いや、だから…」
「?」
「じゃあそれでいいです」
一生来ないって事で…
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