第7話精霊集合!

「あ、それと、優恵も模擬戦をやらせてもらいなよ」

「いえ、大丈夫です」

「そう?」


 絶対やらせてもらったほうがいいと思うんだけどな。まあ本人がいいって言うんだったらいいか。


「ただ、お兄様は魔法を使うのは無しでお願いします」

「ん?お兄様『は』?まあ、そうだよね。いいよ」


 さあ、俺みたいな紛い物の才能じゃなく、本物の天才の力を拝見しようじゃないか。


「じゃあ始めましょう」

「ちょ、ちょっと待て」

「「はい?」」

「何?今やるのか?」

「ええ」

「駄目ですか?」

「おい、契約書あるな?」

「此方に」

「マサハル。ここに模擬戦中は魔法を使わないと書いてサインしろ。そうじゃないと模擬戦は認められない」

「え?まあ、別にいいですけど…書きましたよ」

「よし、俺らは離れるぞ」

「魔法は使用しないって言ってますよ?」

「確か遥斗だったか?兄があれで、妹があれじゃない保証がどこにある?逆に我は妹も何か持ってると思っている」

「そう言われればそうですね」

「だろう?全員下がれ。別に下がらなくてもいいが、下がらなかった場合特等席での試合の観戦となる」

「そういえば、優春普通に魔法使ってましたね。普通どのくらいの時間がかかるのですか?」

「1ヶ月程だ」

「…」



「お兄様よろしくお願いします」

「ああ」


 いきなり魔法陣十個。まあ、妹だし想定の範囲内だ。まだ軽い方だと思ってる。現に普通に避けることが出来る。そういえば、ラノベでよくある魔法を切るやつ。出来るかな?


「熱っ!」

「何をやってるんですか?どんどんいきますよ!」


 無理だった。何が悪かったんだろうか?一番あるとしたら、普通の剣じゃ魔力を切ることが出来ないとかかな?じゃあ魔力を切る方法を考えるか。やっぱり魔法剣かな?魔法が有るんだったら、魔法で作られる剣もあるはず。

 …今は魔法を使えないし、そんな魔法陣は知らない。あとで教えてもらお。


「どうしたんですか王様?」

「わからん。だが、悪いことが起きそうな気がする。結界を限界まで強化しろ!」


 俺じゃないよね?悪いことは起こす気はないし。


「次!」

「まだまだ余裕だぞ!」

「当たり前ですよ!まだまだ私も余裕です!」


 じゃあ次は火球の中にある魔力を意識し、それを切るようなイメージで、切


「いっつ!」

「お兄様はさっきから何をしているんですか?」

「秘密だ。それよりも、近づいていい?遠いと俺は何も出来ないんだよね」

「いいですよ。来れるのなら」

「じゃあ行かせ…それは無理なのではないでしょうか?」

「魔法の使用は禁止ですからね!」


 いや、まあそれは分かってるよ?でも、魔法陣5.60個あるよそれ。隙間がないのにどうやって近づくんだよ。これ範囲攻撃でもして一掃しないと負ける気がするんだが?

 魔法の使用は禁止。要するに魔法以外はなんでもオッケー。よし、ラノベで有名飛ぶ斬撃。これが出来るかやってみよう。出来なかったら空へ飛びます。

 まずは2つの短剣に魔力を込めます。その後振りながら魔力を放出!


「良し!成功!」

「飛ぶ斬撃?」

「流石優恵。一発で分かるのは本当に凄いよ」

「ありがとうございます。じゃあ私もやってみますね」

「よし、じゃあ俺も同じ事をして打ち返してやるよ」


 限界まで込める。思ったよりも込めれたようで、込めるのに思ったよりも時間がかかってしまった。剣が青白く光り、震えだしたからこれ以上やったら壊れる気がして止めたが、


「魔力込めてる?」

「はい。ですが何かに吸われているかのように込もらないんです」


 吸われるってどこに吸われるんだよ。でも、面白くないな。


「込もるまで待つよ。どうせなら楽しみたいし」

「ありがとうございます」


 ……。



……。まだかな?どんだけ吸われてるんだよ。と言うよりも、優恵さんはどんだけ魔力があるんですかね?俺だったらもう枯渇してると思うよ。


















「ふっかーつ!」「ふっかつー!」

「は?」「え?」


…。小さい子供が二人。急に光って目を一度閉じたら幼女が二人。妹合わせて美少女三姉妹。…いけるかもしれない。ただ、髪の色が銀とオレンジなのが気になる。何事?


…落ち着け。


「久しぶりー!」「おひさー!」

「おい優恵?」「し、知りませんよ」

「なんでふっかつー?」「わかんなーい」

「おい?」「わ、わからないです」

「けいやくー?」「つながってるー!」

「どっちー?」「かみがながいほー」

「にてるー」「にてるねー!」

「でもたたかってる!」「てき?」

「てきー!」「たおせー!」

「ながいほうみかた!」「みじかいほうてき!」

「てきは?」「せんめつー!」

「『月光』!」「『陽光』!」


 うわ危ねえ。今の攻撃一切反応できなかったぞ?なんか外野がめっちゃ騒いでるけど、マジでそれどころじゃない。俺がさっき作ろうとしていたレーザーを普通に撃ってきた。最終手段取っちゃう?当たりか外れか分からないけど、今よりは状況は好転するだろ。


「はずしたー?」「なんでー?」

「わかんなーい!」「もっともっとー!」

「え!?ちょ、ストップ!」

「なんかいってるよー?」「わかんないー!」

「おい!?優恵!?なんで固まってるんですかね!?」

「もういい!」「もういちど!」

「あぁ!もう『精霊顕現』!

「『月光』!」「『陽光』!」


 もう最終手段切ることになったじゃねえか!緊急時まで取っとくつもりだったのに!

召喚後に見た紙。あの内容を簡単に要約すると、「二度目でごめん!かわりに神界に封印されてる精霊と契約させといたから許して!」といったものだった。見た時は、それ厄介ごとの押し付けじゃね?何その罰ゲーム。と思ったわけだが、今は感謝の気持ちしか無い。これがなかったら死んでた疑惑があるからな。ただ、目の前の少女がどうやって防いだのか凄い気になるけど…。


「契約?者?」

「あ、ああ多分」

「戦ってて呼ばれた?」

「ああ」

「じゃあ消して問題ない?」

「ん!?いや、落ち着いて!?」

「私は落ち着いてる」

「あ、ああそうだな」

「消していい?」

「何で消すんだ?」

「私の趣味で生きがいで存在意義だから」


もしかしなくても精霊って極端なのしかいない?しかも、この感じって攻撃されたことに気付いてない?やっぱ厄介ごとの匂いしかしない。


「はっ!?お兄様に何をやってるんですか!?」

「え?ええ?」「おこられたー?なんでー?」

「何ではこっちのセリフです!なんでお兄様を攻撃したんですか!?」

「てきだからー!」「てきはせんめつー!」

「お兄様は敵じゃないです!戦いの練習をしてただけですよ!」

「れんしゅー?」「てきじゃないのー?」

「敵じゃないです!」

「んー。ごめんなさい」「ごめんなさい?」

「それでいいんです」

「消せないの?」

「ああ」

「じゃあ私は何をすればいいの?」

「何かしたいことはないのか?」

「分からない」

「それで、お兄様!大丈夫ですか!?」

「大丈夫だよ」

「どちら様か知りませんが、お兄様を助けてくれてありがとうございます」

「ん?誰?」

「俺の妹」

「そう」


 やっぱりこの精霊マイペースだよな。さっきから調子が崩されっぱなしな気がする。

それよりも、一番気になるのはなんでこの精霊、白黒なの?全く色がない。白黒のアニメキャラを見てるような気分になる。


「それで、どちら様ですか?」

「ん?私?」

「はい」

「私はこの男の契約?精霊?」

「何故疑問形なのですか?」

「わからないから。本当に契約しているのかも、私が精霊なのかも」

「わからないのですか?」

「ええ。私が私のことでわかっているのは、この世で私と同じ存在はいない。ということだけ」

「それは当たり前なのでは?」

「あなたは、あなたの兄と同じ。同じ種族。私には同じ存在がいない。」


 なんかこの精霊の人生滅茶苦茶重そう。絶対に厄介事だろこれ。神界に封印されていた精霊。これだけでもう完全にアウトなのに、これ以上厄介なことは増やさないで欲しい。


「そういや、優恵。組手は中断で」

「わかりました」

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