第3話精霊本当に謎生命体

 まれに発生する誰も話さなくて気まずくなる時間。そういったものが話してる内に必ずやって来る。何が言いたいかというと、今がその時だということだ。まあ俺はこれ幸いにと、ポッケに入っていた紙を確認したのだが、見なかったことにしたくなった。俺が読み終わった後に、魔法でもかかっていたのか燃えて消えたし、王様がこっちを驚いた顔をしてみてきたけど、それは置いておいて。普通に…歩ける。問題ない。


「君は魔法か精霊術が使えるのか?」

「使えると思いますか?」

「いや、だが」

「使えるわけがないじゃないですか。そんなことよりも、精霊術や精霊について教えてもらえませんか?」

「お兄様、急にどうしたんですか?」

「いや、ちょっと気になったからさ。それで、王様教えてくれませんか?」


 最重要案件だからこれ。精霊の位がどんなのがあるのかや、精霊術の行使におけるメリットとデメリット、属性がどんなのがあるのかとか。


「精霊術とは精霊と契約して、精霊に魔力を渡すことでその精霊の属性に合った魔法を行使してもらうことだ。精霊と契約をすると様々なメリットが有る。例えば寿命が伸びたり身体能力が上がったり、などだ。理由は解明されていないがな」

「位はどのような物があるんですか?」

「境界があやふやだが、下級精霊、中級精霊、上級精霊、王級精霊、帝級精霊、精霊王が各属性ごとにいて、その上に精霊神がいると言われている」

「帝級精霊より精霊王のほうが上なんですか?」

「神話では精霊王よりも帝級精霊のほうが強いとされているが、精霊王は自由に上級までの精霊を作り出すことが出来、人間や魔物ですらも精霊に作り変える事が出来たと言われている。それに、帝級精霊も精霊王もその属性の全ての魔法が使えると言われているからなんとも言えない。こんなところでいいか?」

「はい。ありがとうございます」

「それと今は活動をしていないが宝物庫には帝級武具精霊がいるぞ。昔に召喚された勇者が使っていたとされているから、本物だと思うぞ」


 色々と突っ込みどころ多いぞ。なんで帝級精霊なんて危険な生物?が宝物庫に保管されてるんだよ。しかも活動していない?なんだその謎生命体は。


「何個か質問なんですが、まず、武具精霊とはどういったものですか?次に、精霊は活動を止めることができるんですか?最後に、今更ですが何故僕達が召喚されたんですか?」

「順番に答えていくが、本来契約者の体内にいるか、顕現しているかの二択であるはずなのが精霊だ。だが、武具精霊は体内にいるか、顕現しているか、武器や防具となるかの三択になる。要するに、武具になることができる精霊を武具精霊という。契約しているものによると、離れすぎると自動で体内に戻ってしまうらしい。今は宝物庫で武具状態で存在しているぞ。次の質問には、そうだ。としか答えられない。精霊は我々でもわかっていないことが多すぎる。答えられなくて申し訳ない。最後に、何故召喚したかだが、我々にもわからない。神々の命によって各国が勇者召喚を行っている。流石に40人近く召喚されたのは想定外だったがな。一ヶ月後に各国の勇者全員が集まる催しが開催され、そこで他国の勇者達と顔合わせをする予定だ」

「は?理由がない?」

「ああ。すまない」

「いいえ、俺は別にいいです。ただ、他の人は文句を言うと思うので理由は考えといたほうがいいと思います。遥斗は理由がないことをどう思う?」

「あ、ああ。別に俺はいいけど、他の人には理由を作ったほうがいいと思うぞ。それよりも、魔法と精霊術の違いってなんですか?」


 理由か。なんだろう、魔王でもいればちょうどいいのかな?


「我々は精霊のように魔法を使うことは出来ない為、わざわざ魔法陣を書かなくてはいけないのだ。なので、魔法陣を使う場合は魔法となる。昔はどちらも精霊術だったらしいのだが、勇者が異を唱え、魔法になったらしい。その時までは、魔力ではなく精霊力と呼んでいたそうだぞ」

「ありがとうございます。それで、快と夜咲さんはどうなんだ?」

「お兄様がいるのでどうでもいいです」

「お嬢様に会えたので満足してます」

「(遥斗。俺が控えめに見てもお前の友達やばいぞ)」

「(お前の妹のブラコン度合いの方がやばいと思うぞ。なんだよどうでもいいって)」

「(普通だろ?俺もそんなもんだぞ?それよりも絶対お前の友達のほうがやばいって)」

「(あいつが小学生の頃に、姉が見てたアニメに出てくる執事に憧れたんだってさ。だから俺が会った時には女子限定だがあんな感じだった。まあ、嫌がったらやめるぞ)」

「(よく友達になったな?)」

「(ちょっとそこら辺は黒歴史がゴロゴロしてるから止めて)」

「(フリだよね?あとで聞きに行くわ)」

「おい!?」

「どうした?」

「すみませんなんでもないです王様。ところで宝物庫はまだなんですか?」

「ここだ。いつ話しかければいいかわからなくてな。入って好きな武器や防具を取って良いぞ」

「「「ありがとうございます」」」


好きなの取って良いとか太っ腹だ。三人共すぐに体育館ぐらいの大きさがある宝物庫の中へ探しに行ったし。え?俺?俺は、


「君は取りに行かないのか?」

「正直防具は使いたくないので。武器は持ってますしね。それよりも王様、道中誰ともすれ違いませんでしたね」

「おそらく皆修練場に行ってると思うぞ」

「それ、問題はないんですかね?」

「問題ないだろう。それに我の流儀は自由を重んじるからな」

「それは国のトップとして問題しか無いんじゃないんですか?」

「基本的には息子に任せているから問題ない」

「あんた全然現役だろ!?」

「現役の内にしっかりと息子の能力を上げておこうと思ってな。貴族たちも一枚岩ではないから、我の目の黒いうちに息子を立派な国王にしようと思っているのだ」

「割としっかり考えているんですね」

「まあ、今のは宰相への言い訳で実際は自由がほしいからだがな」

「流石自由を重んじる男」

「そうだろそうだろ。君は話がわかるな。名前を聞いておこう」

「マサハル・ヨザキですよ現国王様」

「妹といい毒を吐くのが好きなんだな」

「もしかして気にしてたんですか?それだったらすみません」

「…。表情を隠すのがうまいな」

「ありがとうございます」

「今度は我が質問してもいいか?マサハルがいた世界ではマサハル達みたいな兄妹がたくさんいるのか?」

「聞くのでしたら答えを聞くまで待つべきだと思いますよ。まあ、僕等みたいな兄妹はあまりいないと思いますよ」

「そうか良かった」

「良かったってどう意味ですかね?まあそれよりも、この世界には国はいくつあるんですか?」

「この世界に大陸は3つあると言われている。一つは一日経つと大陸の形すら変わると言われている『果ての大陸』。一つは魔族、魔王が住んでおり全体的に魔物が強い『魔大陸』。そして今我等がいる大陸が『精霊大陸』だ。『精霊大陸』には人族と獣人族、妖精族が暮らしている。大陸を四等分し、それぞれに人間が統治する国があるぞ。獣人族や、妖精族はそれぞれで集落を形成しているか、国の中に紛れている。だから国と呼べるのは4つだな。魔王の国も含むならば5つだが、勇者召喚をしたのは4国だけだ」


やっぱり勇者召喚と行ったら魔王だし、魔王はいるんだな。それよりも、一日で大陸の形が変わるって何が起きてんの?


「やっぱり魔王がいるんですか。じゃあ魔王の討伐を理由に勇者召喚をしたということにするのはどうですか?」

「論外だ。そもそも魔王とは敵対していない上に魔王には勝てない。魔王は闇の精霊王だからな」

「それはどこ情報なんですか?」

「本人談だ」

「そうですか…。ですがそうなるとたしかに厳しいかもしれないですね」

「現在困っていることなんて『終焉の森』か『迷宮』だが、これだと勇者召喚には理由が足りないからな」

「『終焉の森』と『迷宮』ってなんですか?」

「そうだな、『終焉の森』は大陸の中心にあり、すべての国がある程度の被害を被っているはずだ。『終焉の森』は奥まで行ったものがいない為、何があるのかすらわかっていない。数年に一度人の多い地域へ向けて魔物の大進行があるから、厳重な監視体制を築いている」

「最後に起きたのは何時?」

「2年前だ」

「『迷宮』は?」

「『迷宮』には各階層ごとに様々な魔物がいるが、最上位冒険者でも50層程までしか行けていない。すると行けていない階層に魔物が溜まりすぎて上に上がってくることがあるのだ。『迷宮』を中心に迷宮都市が形成されている為、防衛に失敗すると都市が一つ消える。前回起きたのは10年前でなんとか防ぎきったが、冒険者、民間人、騎士を合わせて2000人近くの死者が出てしまった」


2000人は多いかもしれないけど勇者召喚には理由としては足りないかな?都市一つが消えるのは確かにでかいかもしれないけど、それも足りない。

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