第48話 QUERYの結合範囲指定
2体のQUERYはサイトウに破壊されてガクガクと体を揺らす鉄の塊となった。エラーで処理できない個体なので、おれたちは放置して元の場所に集まった。
「サイトウさん、さっきの手榴弾ですよね、そんな危ないもの持ってたんですか?」
「お、おめえもいるか?ほれ」
サイトウはカバンを開いてみかんを配るような気軽さで手榴弾をとるようにうながす。
「いえ、遠慮しておきます」
ちょっと悩んだが今日のところは断った。たしかにピンチを乗り切れるかもしれないが、いかんせん怖すぎる。今日の車中にそれがあったのかと思うとゾッとする。もしかするとこれまでもずっと持っていたのだろうか。危険手当が必要だ。
「あのー」
イノウエが割って入る。
「お、持っとくか?手榴弾」
「あ、じゃあひとつだけ。いや、そうじゃなくて結合について話しておいたほうが良いと思いまして」
「ああ、そうだったな。たのむわ」
イノウエが受け取った手榴弾をカバンにしまって解説をはじめた。
「さっきQUERYが1つのセルから2体現れたのは、データ範囲2つが結合されていたからです」
=QUERY({データ範囲1; データ範囲2}, クエリ)
「このように書きます。データ範囲はセミコロン(;)で区切れば3つ以上でも結合できます。もちろん同じカラムが同じ順番に並んでいないと意味ないですけどね」
「カラム名も完全に揃えないといけないんですか?」
「いえ、実は結合を使う場合は見出しを読むことはできないんです。なので[見出し]オプションをつけようがつけまいが見出しを認識せずにぜんぶデータ行として取り扱っているんです」
たしかに見出しの表記が揺れたときに困りそうだ。
「ちなみにクエリの書き方にも気をつける必要があります。クエリで列をアルファベット記載するのはおぼえてますよね。結合の場合は左からCol1、Col2、と記載する必要があるんです」
A:名前 B:性別 C:年齢
---------- --- -----
タカハシ 男 27
サイトウ 男 43
「たとえばこういうデータを使うとしても、結合する別のデータはこうなってるかもしれませんよね」
D:名前 E:性別 F:年齢
---------- --- -----
イノウエ 女 17
「なるほど。たしかにこれじゃアルファベットでは指定できないですね」
説明が終わったとき、動けなくなっていたQUERY2体が消えた。そして同じセルから新たな2体が現れた。
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