第13話 資格は重要か
果たしてサイトウなしでクエストをやっていけるのか。大いに不安だし現実的な問題も多い。
まずひとつにおれは車の免許を持っていない。この世界で運転をするのに免許が必要かといえば、そもそも免許証じたい現世においてきたので不要だろう。しかしだからといって気兼ねなく運転ができるわけではない。GoogleSpreadsheetsには認定資格はないが、MOSのExcel expertを持っているやつはすぐに勘所をつかんで使いこなすことができる。資格が必要ない場面においても、資格があるものは強いのだ。
そういうわけでおれはいまイノウエの運転する車の助手席に乗っている。イノウエは免許を持っていたらしい。しかしだからといって問題がないとは言えない。「MOSのspecialistを持っているからExcelは大丈夫です!」なんてやつを何人も見てきたが、正直飾り程度だ。なにが「習ってないのでわかりません」だ?調べてどうにかするのが仕事なんだよ。
いや、MOSのことはいい。問題はイノウエの運転だ。本人はなんの問題もないというがどうみても問題だらけだ。免許を持っていないおれでもわかる。
まず出発時から急発進、駐車場を歩いていたworkerを轢きかけていた。クエストまでの道は高速道路状になっている。信号がないことと歩行者がいないことはよいのだが、カーブはそれなりに多い。走行車線、追い越し車線という区分はないようだが、サイトウを含めて良識あるworkerはそれとなく左レーンを走行車線、右レーンを追い越し車線として利用しており平和だった。イノウエはというと特にそういう意識はないらしい。ずっと右側車線をのんびり走っていたかと思えば、前の車が車線変更したのを見て思い出したように車線を変える。そしてずっとフラフラと走っている。一度隣の車線を走る車に近づきすぎてクラクションを鳴らされたのだが、「うるさいなあ、もお」とぶつくさ言っていただけだった。
一応事故なく今日のクエストに到着したものの、サイトウのいないクエストは不安でしかない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます