第6話 拒絶
「はるかー!お友達来てるよー!」
うるさい。
折角ゆっくり昼頃起きたって言うのに大きな声を出されたら困る。
「遥、クラスの子が寄せ書き持ってきてくれたよ。学校で待ってるってさ。なんもないなら行ったらどうなの?」
「なんもない?うるせぇよ!何がなんもないならだよ!分かるわけねぇだろばばあ!」
そう言って俺は部屋に戻ってふて寝をする。
久しぶりに怒鳴った気がする。どんなに辛くてイラついてもこんなになったのは久しぶりだ。
どうせ誰にも分かってもらえるはずないんだ。分かるはずがない。分かられてたまるものか。
だいたいそんな簡単に今の俺の心境が他人にわかるならこんな事態になっているかどうかも怪しい。
知り得もしない感情にわかった気になって同情されても困るし、分からないけどとりあえず復帰しろも困る。
正直放っておいて欲しい。
そもそも寄せ書きとか小学生じゃあるまいしという感じだ。
『どうせ俺の事なんて誰も大した風に考えちゃいない。』
『どうせ俺なんて他人からしたらエキストラのAさんでしかない。』
『どうせみんな俺なんかいなくても困らない。』
『どうせ俺が死んでも誰も悲しまない。』
『どうせ俺がいなくなろうが周りが変わることなんかない。』
本質も根本も同じような似ている『どうせ』が頭の中に浮かんでは消えていく。
吐き出す場所が欲しくていつか作った愚痴用のアカウントで呟く。
『なんで俺なんか生きてるんだろうな。』
もちろん誰かがいいねを押すことなんてなくて、けれどその無通知がどうも居心地がいい。
答えも返ってこない、誰かが反応してくれるわけでもない。
だからこそ言いたいだけ言える。
もう人付き合いなんてこりごりだ。
こんな思いをするなら一人で生きていけばいい。
山の中で1人で暮らしてやろうか。
家出して適当に生きて適当に死んでやろうか。
そんな考えが頭にうずまく。
他人と直接繋がるなんてこりごりだ。やめて欲しい。気持ち悪くて仕方ない。
今までにないような黒い感情にのまれて衝動的にLINEを消した。
一つ何かをやり切った気分だった。
清々した。
きっと数週間前の自分なら何をやっているんだ、と怒鳴っていただろう。
けれどそんなことを考えられるほど冷静ではいれなかった。
他のSNSはLINEに比べて人との付き合いが密じゃないから、と消すのをやめた。暇つぶしにもなる。
適当に眺める分には良いだろう。
SNSで反応も通知もないスマートフォン。
いつかいいねとかリプライとかが恋しくなるんだろうか。
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