MISSION9 仕込

 また無線がうるさい。目覚ましより早く鳴るなと何回もいってるじゃねえか。


「はいはい、なんだぁ」

『む、すまない。起こしてしまったか』

「すまない、じゃねえよ。邪魔しやがって」

『昨日防壁の展開を確認した。殲滅は今日からか?』

「そうだよ、デベロッパーとの通信聞かなかったのか? 秘匿じゃなかったろ」

『いや、Kへの直接確認が必要だったんだ』

「はーめんどくさ。まあいいや、今日からだよ」

『応援は必要か?』

案山子カカシはいらん。ポップコーンとコーラ用意して映像みてろ」

『そうか……健闘を祈る』


 朝っぱらから下らん連絡しやがって。とりあえず朝の用意して出撃だ。


 今日は区画までバイクを使う。車では遅いし走るのも疲れる。

 いい音のエンジンだ。飛ばして行くぜ!


 区画前に到着すると見計らった様に通信が入った。


『おはようございます、Ms.K』

「オペレーターか、何だ」

『暇つぶしですよ。面白い事するんでしょう?』

「筒抜けか。まあいい、好きにしろ」

『かしこまりました』


 だから何をかしこまるのだ、こいつは。


 とにかく走りながら辺りに指向性地雷とリモコン爆弾、レーダーを設置していく。まとめて相手も出来るが面倒くさいので爆破処理もする。それとオペレーターの暇つぶしも使わせてもらう。

 道中で何体か失敗作が出るものの出会い頭に蹴り殺すか、ラリアットで頭を潰すかして黙らせた。


「オペレーター、リモコン爆弾と指向性地雷の起爆スイッチをそっちと連動しろ」

『もう終わってます。端末から個々に爆破できるようにもしておきましたよ』

「変態オペレーターめ」

『あんな速さで爆弾を仕込む貴女に言われたくないです』

「ふん」


 コイツのオペレートは認めざるを得ないな。本当に化物じみている。


 ひとしきり範囲内を囲む様にして爆弾と地雷を設置した後、丁度区画の中心になる広場へ着いた。後は単純である。だが一晩は喧しい事になるだろう。はぁビールが飲みたい。


「失敗作の反応は?」

『いい感じにバラけています。レーダーのお陰で小さいのまではっきりですよ』

「ならいい。一晩かかるが着いてこれるか?」

『こんな楽しい暇つぶし、徹夜でやらなきゃ損ですよ』

「ホントに変態だな。まあいい、やるぞ」

『はい。ではAブロックから』


 血生臭いナイトパーティの始まりだ。














 やっぱりビールも担いでこれば良かったか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る