MISSION6 地均

 無線の音がまたしても喧しい。こちとら深夜まで飲んでいたのだ。もう少し寝かせろ。


「誰だよ、うるさいな」

『ハーイ。Ms.K』

「げ、お前は……」


 面倒くさい奴がきた。

 無線のお友達第二号、ドクトルだ。


「何だドクトル。珍しい」

『いやあ、実は君の戦闘服バトルスーツを新しく改良したのだよ。どうだった?』

「相変わらず窮屈なのは嫌いだね。性能面ははいいが」

『その戦闘服には新たな機能と既存の機能の改良を加えたからね。性能面は最上級さ』

「毎度の事だが自信たっぷりだな。まぁ事実だから文句は言わんが」


 このドクトルという男、戦闘服の開発を主にやっていて任務の度に毎回新しい戦闘服を作ってくる。


『それで、今日の活動内容は何なの?』

「言ってみりゃ地均じならしさ。壁設置の場所の目安は昨日把握したからその辺りの失敗作を殲滅するんだよ」

『簡単に言ってくれるねぇ。まぁ私の戦闘服が役立つ事を期待するよ。戦闘服で分からない事があるなら気軽にかけてくれ』

「はいはい、ありがとさん」


 とりあえず準備するか。軽く朝飯を食べ、朝シャンしてから出撃準備を整えて出撃だ。

 

 歩きではなく、車両を使う事にした。車の方が移動は楽だし今日は少し資材を運ぶからだ。


「久々の装甲運搬車アーマードダンプカーだ。面白いから好きなんだよな。よいしょ、っと」


 運転席に乗り込み、エンジンをかける。いい音だ。最初から飛ばして行くぜ。


「失敗作共を轢き殺しながら行けるのはいいねぇ」


 この車、失敗作共を轢いても何のことはないくらい頑丈だ。


『荒い運転だね。無茶苦茶だ』

「そんな風に使う車だろ」

『確かにその程度なら壊れないけども』

「なら好きな様に使うさ。どうせ私以外使えないしな」


 ぶっ飛ばしている内に殲滅エリアに入った。この位置はまだ失敗作が少ない。車はある程度カモフラージュしてから前に進み殲滅の始まりだ。

 失敗作から見えない様に曲がり角や細い路地に指向性地雷を複数セットする。いくら雑魚とは言え囲まれると面倒くさい。

 暫く進むとうじゃうじゃと湧いている所を見つけた。まずはまとめて吹き飛ばそう。


「よいしょ、っと」


 焼夷ロケットを失敗作の群れに数発ぶち込み、ついでに爆弾も投げ込んでやった。これで大分と片付いただろう。

 残った失敗作は私に気がついたのかこちらへ向かってくる。数が少ないので体術で十分だ。


 踵落しで頭を潰し、

――やっぱこれだな。


 貫手で心臓を刺し、

――うわ、汚れた。


 回し蹴りでまとめて頭を砕き、

――束になっても雑魚だ。


 手刀てがたなで首を切り飛ばし、

――ぬくいバター以下。


 掌底で腹に風穴を開け、

――ダイエットしろ。


 股で挟んで首をへし折り、

――コレ、一部じゃご褒美らしいな。


 標識を投げつけて串刺しにし、

――不味そうな串物だ。


 ナイフとガラス片を十数飛ばして頭を貫き、

――業前ワザマエ! なんてな。


 最後は鋼糸でまとめてバラして終わりだ。


 手応えまるで無し。

 指向性地雷も仕事をした様でこの辺は殲滅が終わった。後は交差点やら路地やらを装甲運搬車アーマードダンプカーに積んだ簡易バリケードで塞ぎ拠点に帰る事にした。


 とりあえず地均じならしはこれで良いだろう。明日から壁を作れるといいが。


『流石に仕事が早いねぇ。うわ、失敗作がグチャグチャだ……』

「別にいいだろ、潰さないと生き返るんだから」

『それもそうだ。あ、戦闘服には返り血で自動回復リジェネする効果を付けたんだよ』

「ああ、どおりで疲れにくい訳だ」

『疲れにくいってだけなんだから君はよっぽどだよ』

「ふん、失敗作の攻撃なんざ当たらん」


 下らない会話をしながら、途中コンビニでビールを買って拠点に着いた。


 風呂上がりにビール飲んで今日は寝る。











 壁資材とビールを催促しとけば良かったか。



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