MISSION5 買物

 そう言えば私は酒だ肴だと言っているが、見た目からは成人していない少女に見えるだろう。

 生憎、私は化物で人の形をしているが立派な人外だ。それが証拠に頭に獣の耳が生えている。

 私は人間の扱いを受けない故、人間の規則に縛られる必要もないのだ。だから自分の好きな様にやっている。


 とにかくビール。それがなければやってられるか。

 何故拠点にビールを置いていないのだ。気が利かない奴らめ。

 愚痴っていたらコンビニについた。


「さてさて、冷えてるかなっと」


 冷えたビールが一番の楽しみだ。

 自動ドアが開いたので電気は来ている。ショーケースを開けると冷えたビール達がキレイに並んでいた。


 やったぜ。


『持ち出しOKとは言え取りすぎないで下さいね』


 オペレーターはそう言ってきたがそんな事は分かっている。

 実はこの街、封鎖と共に事実上隔離されたので誰も戻れない、と言うよりは組織の決定があるまでは完全に組織の物になっている。


「何でも持っていけ、と言われても必要以上に持っていく気なんぞないわ」


 ここで荒らし回ったら失敗作以下である。


 まぁそんな事はどうでもいい。色々とビールを見渡した後、ちょっとプレミアムなロング缶を十二本、さきいか二袋を拝借した。


「さて、帰るか……飲みながら帰ろう」


 ロング缶を開け、グイグイ飲み進めながら帰るのもいい気分だ。


『もう始めてるんですか。敵襲があったらどうするんです』

「愚問だろ、それ」


『敵性反応! 八時!』

「酒の邪魔だ」


 失敗作の頭を回し蹴り砕いた。酒の邪魔をする奴に容赦などしない。

 愚問ってのはこういう事だ。


『相変わらず容赦ないですね。うわ、頭の原型なくなってますよ』

「だから愚問だって言ったろ」

『敵に襲われてるのにビール缶離さないのはどうかしてますよ』

「うるせぇ、分かりきった事言うな。んぐ……っと」

『うわぁザルですね。十二時の方向に敵性反応多数ですがどうします?』

「迂回ルート出して。戦闘面倒くさい。げふー、あ、無くなった」

『危機感ゼロとはこの事ですか』

「そうだな」


 オペレーターが出した迂回ルートを進んでサッサと拠点に帰る事にした。


 失敗作も酒の肴になるならまだいいが、アイツらは煮ても焼いても食えない。











 焼酎も買ってくれば良かったか。






 

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