MISSION4 偵察

 とりあえずオペレーターに連絡だ。

「おーいオペレーター」

『何でしょう』

「録画忘れた、やっといて」

『はぁ、何時からです?』

「十八時からの映画」

『かしこまりました、やっておきます』

「助かるわー」


 任務の進捗より録画予約の方が遥かに重要だ。


『ところで今は何を』

「何って偵察だよ、壁作る為の下見だ」

『ほほー真面目にやってるんですね』

「やらないと後が面倒くさいだけだ」

『ごもっとも』


 私とてやる仕事はちゃんとやるのだ。現にオペレーターとの通信中もあちこち飛び回り壁を作るのに最も適した場所を探している。


『それにしても移動速度は驚愕の一言です』

 

 当たり前だ、地面ではなく建物から建物に飛び移って移動しているのだから。こうすれば面倒くさい戦闘を避けられるし、見渡しやすくて作業が捗る。


『敵性反応! 六時!』


 後手にハンドガンを撃ち、始末した。


「変態じみたオペレートだな」


 彼女は暇つぶしでオペレートしているが腕は確かだ。私が気付くより早く敵性反応情報を送ってくる。オペレーターとしては私より化物だ。


『後手に構えて標的を見ずに頭部を撃ち抜く貴女に言われたくないです』


 言ってくれるな、この変態オペレーターめ。


 暫く飛び回って近くの電波塔の先端に立った。ここならこの一帯をある程度見渡せる。


『良い眺めですね。失敗作がうろついているのを除けば、ですが』


 私のモノクルを通した映像を見てオペレーターは言う。


「同感だ。壁作ったら残らず始末だな」

『相変わらず物騒な口振りですね。女の子なんですからもっと可愛くすればいいのに』

「そりゃ無理な話だ。第一、私は可愛くないだろう」

『そうでしょうか? 割とイケると思いますけど』

「知ったことか」


 全くお喋りなオペレーターだ。余計なお世話である。


 そうだ買出しにいかねば。映画観賞に酒と肴がないのは有り得ない。今日の仕事はここまでにしよう。


「オペレーター、近くにコンビニは?」

『またアレですか』

「なんだよ、悪いか」

『別に悪くないですよ。地図に出します』

「はいどーも。うわ、遠いな」

『貴女なら一飛びでしょう?』

「失敗作に遭遇すると面倒くさいんだよ」


 そうは言ったが酒と肴は欲しいのでコンビニに向かった。


 ビールが私を待っている。







 冷えてなかったら最悪だ……








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